干し芋にビジネスチャンス 100億円目指しチャレンジ 壮関・板山社長に聞く

壮関は創業31周年を迎え、主力の「茎わかめ」を中心に素材菓子カテゴリーを確立したパイオニア。「もったいない」を商品化しサステナブルな社会の実現にも貢献している。「食と笑顔 未来へつなぐ架け橋に」を企業理念とし、主力の「茎わかめ」のほか「干し梅」「干し芋」を3つの柱とした成長戦力を掲げる。今後の方針について、社長の板山健一氏に話を聞いた。

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21年12月期売上高は53億円。得意先企業のPBを作ることで右肩上がりの成長を続けてきたが、コロナ禍でコンビニの売上が減少したことやオフィス需要が減ったことで踊り場を迎え、消費者の購買にも変化を感じたという。今までは客先の要望を反映させることで売上を伸ばし、棚に入るための営業力やマーケティングが最重要ではなかった。

板山社長は今後の成長について「変化に対応するためには、NBの商品価値の訴求や消費者ニーズを反映したNB作りを強化することが最重要課題だ」と語る。昨年度から営業人数を増やし、マーケティング部を立ち上げ、商品の見直しやプロモーションの強化、新たな販路開拓で立て直しを図る。

今期の方針は、引き続き約7割の市場シェアを誇る「茎わかめ」や「干し梅」「干し芋」のNB強化で、商品と企業の認知向上により、消費者や得意先に対し確固たる地位を築くこと。

一昨年比約2倍の売上と好調な「干し芋」は、需要に対して供給が追いついていない市場。手間がかかることから大手が参入しにくいため伸びる余地が高いと考え、生産キャパの増強と原料確保に注力している。「干し芋」は、農家が加工品として製造し生鮮売場などで販売することが多かったが、菓子売場で販売するには加工度が低いものでも菓子と同じような品質レベルが求められる。

3年ほど前から包材を研究し、バリア性の高い素材で賞味期限180日を確保。さらに昨年、さくら工場(栃木県さくら市)を改装し、干し芋専用工場(8面の菓子流通版にて掲載)として立ち上げた。品質管理が行き届いた生産工場は国内にも数件しかないという。 また、原料不足については農政も消費が減っている米ではなく野菜を奨励、補助金を予算化し指導にも当たっている。すでに契約農家とのパイプを持つが、新しく参入する農家にも納品先に困らない環境づくりを整え社会貢献や原料確保につなげていく。

中長期の展望は、「より多くの人たちに食べて幸せになってもらいたい」という企業理念の実現と売上高100億円を目指すこと。「目標数字が見えてくるか掴むかというラインまで数年で持っていく」と意気込みを語る。コロナ禍で健康意識が高まり、混ざり物が少ない素材菓子は、時流に合った商品のため、まだまだ伸長の余地がある。今までにないチャネルの開拓やECの強化、中国とのネットワークを生かした海外展開の強化を図っていく。数年後には中国に支社設立も視野に入れている。

一方で社内の組織改革にも注力しており、「個の存在意義が会社のパーパスにつながる」と考え、学校で言うと校長ではなく学級委員長という立ち位置に社長が存在する社風を作り上げ、課長以上が経営を意識し責任を持ちながらも働きやすい環境を整えている。