味の素 新社長に藤江専務 ASV経営で企業価値を高める 新執行メンバーで横断価値創出

味の素の代表執行役社長 最高経営責任者に4月1日付で藤江太郎現執行役専務食品事業本部長が就任する。西井孝明現社長は執行役に就任し、6月下旬に特別顧問に就く。中期経営計画の2025年度目標に向けた構造改革が進展し、25年以降を見据えたASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営の基盤も整い、次世代経営チームにより確かな成長が見込めることから指名委員会はこれを承認し、藤江氏が次期社長に選任された。

西井社長は指名委員会への推薦理由を「藤江氏は、構造改革ステージに続く成長ステージへの転換を牽引する力がある」と指摘。「ASV経営の基盤が整い、食品とアミノサイエンスの無形資産の融合には、しがらみのない次世代経営チームの方が成果が出せる」と判断した。

新社長に内定した藤江氏は入社以来、国内だけでなく中国事業やフィリピン、ブラジル海外法人社長として経営経験が豊富であり、食品とアミノサイエンス両事業の経営を担う中で、構造改革から成長ステージへの転換を実現する多くの実績を残すとともに、2013年以降は執行役員、執行役として味の素グループにおける企業文化変革の中核的役割を果たしてきた。

次期社長就任に向けて「私の役割は、これまで取り組んできたASV経営と、食と健康の課題解決という『志』と『熱意』をしっかり受け継ぐこと。この取り組みを磨きに磨いて加速し、味の素グループを持続的に成長させる。創業以来積み重ねてきたアミノ酸技術や知見を最大限に生かし、今後さらに深刻化する食と健康の課題解決を通じ、2030年までに『10億人の健康寿命の延伸』と『50%環境負荷低減』を実現し、さらにその先の未来に向かって、グループならではの新事業モデル創造とサステナビリティ推進を進める。世界中の生活者、そしてステークホルダーに『幸せの素』を提供し続ける企業として持続的に企業価値を高めていく」など抱負を述べた。

なお4月1日付で就任する新執行メンバーは、食品とアミノサイエンス両事業を融合させ、グループの人財、ナレッジ、ブランド力など多くの無形資産を生かし、横断的に価値を創出してきた経験を持っている。新執行チームでは内部統制を明確・簡潔にするため、執行役会長は設置せず、代表執行役社長の支援および外部団体役職は特別顧問などが担う。6月下旬付で西井孝明氏、福士博司氏、伊藤雅俊氏を特別顧問に委嘱する予定。

藤江氏は京都大学農学部卒業後、1985年味の素入社。2004年中国事業総轄部課長、08年中国食品事業部長、11年フィリピン味の素社社長、15年ブラジル味の素社社長、17年常務執行役員、21年執行役専務食品事業本部長、22年4月代表執行役社長 最高経営責任者(予定)、6月取締役代表執行役社長 最高経営責任者(予定)。1961年10月25日生まれ、大阪府出身。

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