外食市場 昨年もマイナス 19年比では17%減

日本フードサービス協会(JF)がまとめた令和3年(2021年)1-12月の外食売上高(全店ベース)は前年比98.6%となった。コロナ前の一昨年比(19年比)では83.2%で、2年連続で市場規模は縮小した。協会会員社を対象とした月次外食産業市場調査(全店ベース)の結果を集計したもの。総店舗数は前年比96.4%、19年比94.4%。客数は前年比98%、客単価は同98%。

〈全体概況〉

新型コロナウイルス感染症発生2年目となった2021年の外食産業は、飲酒業態やレストラン業態などを中心に、1~2月にはまだコロナ発生初期であった前年よりもコロナ禍の影響が大きく、2021年間の全体売上は前年比98.6%、一昨年比では83.2%と市場規模は縮小した。2021年の1月には2回目の「緊急事態宣言」が、4月以降は「まん延防止等重点措置」などの規制が政府・各自治体から発令され、時短要請など営業制限が10月まで続いた。特に規制に「酒類提供の制限・禁止」が加わったことで、制限期間中、飲酒業態の多くは休業に追い込まれ、「パブレストラン/居酒屋」の売上は、2020年比で57.8%、コロナ前の2019年比では27.2%とコロナ1年目よりさらに市場は縮小した。規制解除後の第4四半期(10―12月)以降も夜の需要は戻らず、外食産業の売上状況は依然として厳しい。

業態別では、店内飲食を主とする「ファミリーレストラン」(91.8%/70.3%)(前段20年比/後段19年比、以下同)、「ディナーレストラン」(89.9%/57.4%)、「喫茶」(100.1%/69.2%)、「パブレストラン/居酒屋」(57.8%/27.2%)などは苦戦が続いており、特に飲酒業態は深刻な事態となっている。一方、「ファーストフード」(104.8%/101.8%)は業態の強みであるテイクアウト・デリバリーの下支えにより好調を維持した。

〈四半期動向〉

売上は、第1回「緊急事態宣言」が発令された2020年同期と比較した第2四半期(4-6月)、および宣言解除期間が含まれている第4四半期(10-12月)は、全体および業態別ともにおおむね前年を上回った。

店舗数は、全体的にコロナの影響により特に年前半の減少幅が大きかった。とりわけ「パブレストラン/居酒屋」は2度目の緊急事態宣言となった第1四半期(1-3月)、3度目となった第2四半期(4-6月)は減少幅が15%前後と大きく、年計では20年比86.7%となった。

客数は、2020年の第1回緊急事態宣言との対比で第2四半期(4-6月)が大きく伸び、また宣言解除後の第3四半期(7-9月)でも増加した。中でも「パブレストラン/居酒屋」は営業制限の有無により増減幅が大きく変動した。

客単価は、第4四半期(10-12月)において、すべての業態で前年を上回って推移した。業態別では、「喫茶」のみがすべての期で前年を上回った。

令和3年(2021年)1-12月 外食売上高 市況 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

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