「明星らしさ」さらに磨く 付加価値提案で需要開拓へ 明星食品 豊留昭浩社長

新型コロナ特需の反動を受ける即席麺業界にあって明星食品が元気だ。上期末時点で前年実績を上回り、通期でも前年を上回っての着地見通し。既存のロングセラーブラントが堅調に推移していることに加え、矢継ぎ早に投入する需要創造型新製品がプラスオンしている形だ。昨年4月から明星食品を率いる豊留昭浩社長に、今期の取り組みと来期の方針について話を聞いた。

  ◇  ◇

2020年度の国内即席麺総需要は、巣ごもり需要により59億7千万食と過去最高を記録した。2021年度はその裏年にあたり、特に袋麺が前年割れとなっている。全体でも食数ベースでは前年割れになると思うが、2019年比では確実に伸長しており、底堅く推移している。内食回帰ということで、即席麺の価値が再認識されたということと考えている。

そうした中で当社も、巣ごもり需要で2020年度は既存の主力ブランドがフル生産でも追い付かない状況になった。2021年春先はその反動があり、第1四半期は前年割れとなったが、第2四半期、夏場以降盛り返し、上半期では前年を上回る状況になった。特に、チャルメラ「宮崎辛麺」「もやしが超絶うまい まぜそば」、新ブランド「麺神」といった新製品が好調で、第3四半期累計(4-12月)で前年を上回っており、通期でも上回る予定だ。

新型コロナウイルス感染症の収束と経済回復の期待が高まる2022年度は、新しい変異株の懸念はあるものの、ウィズコロナからアフターコロナへの移行期になるととらえている。経済活動の再開とともに、外食など「ソト」消費が増加する一方、ニューノーマルの生活様式で浸透した「ウチ」消費についても、価値あるものは今後も継続されると考えている。コロナ禍で高まった即席麺の価値、手応え、チャンスをさらに拡大し、付加価値の高い提案、商品を投入していきたい。

昨春、社長に就任した際、「明星食品らしさを磨き、キラリ☆と光り輝かせる」ということを申し上げた。その時、三つの経営方針として「収益力強化」「独自性強化」「組織力強化」を掲げた。「収益力強化」で大事なことは、ロングセラーブランド「チャルメラ」「一平ちゃん」「中華三昧」の持続的な成長と新ブランド「麺神」の育成・強化と考えている。「独自性強化」では、超極太麺からバリカタと呼ばれる細麺まで多彩な太さと食感を提案できる「麺の明星」の強みを発揮するとともに、「宮崎辛麺」「酸辣湯麺」「油そば」のような明星食品が得意とする独自の№1フレーバーを育成していく。「組織力強化」では、持続可能な社会に向けての環境問題、減塩・減糖・減脂などの健康問題、多様性を尊重する組織作りにさらに取り組んでいきたいと考えている。企業価値の向上と社会問題の解決を両輪としたCSV経営をさらに推進し、共感・共生・共創カンパニーを目指していきたい。

「明けない夜はない」という言葉がある。コロナで暗い状況であっても、明るい朝は必ずやって来る。「明けの明星」という言葉もある。夏ごろから夜明け前にひときわ明るく輝く金星のことだ。ウィズコロナからアフターコロナへの移行期、明星らしさをさらに磨き、コロナ“明けの明星”を一段と輝かせたい。

5月8日は「#ぬか漬けの日」アイデアレシピ大募集
優秀作にはプレゼントも