「まん延防止による客足減少と、感染拡大下での人員不足で飲食業界は二重苦」というニュースを聞いて思い出した。昨年の秋ごろ、地域卸の経営幹部が「三重苦」を嘆いていた。
▼緊急事態下で夜の飲食店は軒並み休業。大都会なら営業を続ける店もあるだろうが、来店者が限られ、支援金以上の売上が見込めない地方では店を開くところはほとんどなかった。当然、商品は動かない。そして、稼ぎ時であるはずのお盆には豪雨に見舞われ、得意先の小売業から客足が遠のいた。さらに9月には、自治体が独自に大型商業施設へ週末の営業自粛を直前に呼びかけたことで現場は混乱。もちろん売上は激減した。
▼年が明けてからの感染拡大で、またもや繰り返されている自粛要請。先述の卸幹部に会うと、「今度は何重苦になるのか」と不安げだった。
▼都道府県が次々とまん延防止措置を国に要請しているが、一方でその現状に疑問を呈したり、慎重な姿勢を示したりする自治体も散見される。二重苦、三重苦の「苦」を一つでも減らすために、日々の数字に惑わされない冷静な判断が今こそ求められる。