「自分事」化むずかしい警報・注意報

深夜、枕元のスマホで緊急速報メールがけたたましい音で何度も何度も鳴った。地震を感じなかったので、大地震の予知なのか判然としないままテレビをつけると「ESCAPE」や「逃げて」の文字が躍っていた。

▼1月15日に南太平洋トンガ諸島で起きた海底噴火の影響で気象庁は16日未明に津波警報や津波注意報を発令した。私の住む神奈川県内では委託業者のプログラムミスで緊急速報メールが頻発したという。黒岩祐治知事の釈明ツイートで「私自身も寝不足です」とコメントしたことが物議を醸しているが、心配するのは“空振り”の警報・注意報が続くことで正常性バイアスが強化されること。

▼正常性バイアスとは自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりする認知の特性のことで、東日本大震災でもこの恐ろしさが周知された。

▼だが、なかなか自分事化できない。これに輪をかけるように台風などの警報・注意報が近年大げさになっているきらいがある。慎重を期すにこしたことはないが、結果との落差があまりにも大きい事例が続くと「大丈夫」と自分事化が一層遠のく。