農林水産省は、食品製造業者と小売業者との適正取引推進を目指した「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」を策定。12月27日に公表した。
食品製造業者と小売業者との適正取引推進のため、加工食品分野ではこれまで豆腐・油揚製造業(平成29年3月)、牛乳・乳製品製造業(平成30年3月)を対象に適正取引推進ガイドラインを策定。その後、取引慣行の改善や小売業界における適正取引推進の動きが広がりを見せている。
一方、これらのガイドラインは特定製造業を対象としたものであり、他の製造業にも拡大すべきとの意見を受け、食品製造業者と納品先との取引について実態把握を行ったところ、豆腐・油揚製造業および牛乳・乳製品製造業と同様の取引慣行の実態例も存在することが分かった。
こうした実情を踏まえ、関係業界団体の協力を得て、食品製造業全体を対象とした「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」を策定。食品製造業者と小売業との取引関係において問題となり得る事例を提示し、できるだけ分かりやすい形で下請法や独占禁止法の考え方を示すことにより、取引上の法令違反を未然に防止することを目的としている。農水省では今後同ガイドラインの普及を図っていくとともに、関係省庁とも連携し、関係業界団体の要望に応じて説明を行っていくとした。
なお、ガイドライン第2章では、「適正取引推進上の問題と望ましい取引形態」について、センターフィー、協賛金(リベート)の負担、受発注などのシステム使用料、PB商品をめぐる不利な取引条件の設定など、13項目にわたって詳細な事例を掲載している。
概要チラシでは、直近の課題である原材料価格高騰や食品ロス発生抑制に向けた事例を取り上げ、「原材料価格等の上昇時の取引価格改定」「短納期での発注、発注キャンセル」「合理的な根拠のない価格決定」「客寄せのための納品価格の不当な引下げ」の4項目について分かりやすく実例を示した。
また、その他留意すべき事項として、下請取引の該当性(卸売業者が介在する取引)、支払い方法、営業秘密の取扱い、契約条件の明確化と書面交付、事業継続に向けた取り組み、働き方改革推進を阻害する取引慣行の改善、自然災害などへの対応に関わる留意点についても詳細にまとめている。
第3章では、「望ましい取引慣行の確立に向けた取組」として、発注側と受注側のパワーバランスを踏まえ、適正取引推進ガイドラインの浸透には発注側が自ら進んで法令を遵守した取引ルールを改善する率先垂範の姿勢が必要としたうえで、受注側における適正取引推進ガイドラインの活用を促した。