菜種の原料高騰が深刻化している。ウィニペグ菜種相場はこの1年で約2倍に高騰。史上最高値となる1000加ドルを突破し、直近でも(1月)1012加ドル、(3月)1010加ドルと上昇傾向が続いている。
相場高騰の要因は、世界的な穀物需要の増加に加え、バイオ燃料の需要が増大する一方、主産地カナダでの減産により需給ひっ迫の懸念が強まっていること。カナダ統計局が発表した21年産のカナダ菜種生産量は前年比35%減の1千260万t。夏場の猛暑と熱波の影響で、過去5年平均の2千万tを大きく下回り、期末在庫率は3・7%に低下。相場高騰に拍車をかけている。
日本にとって、菜種は油脂供給量の4割を占める油糧原料だけに、その影響は大きい。カナダ菜種の減産をカバーするため、豊作だった豪州からの調達確保を進めているが、今後も価格高騰が避けられない情勢。すでに製油各社は今年4度の値上げを実施し、この1年で油脂価格は1・5倍強に上昇してきたが、急騰するコストに追いついていない状況だ。
また、21年産のカナダ菜種は熱波の影響で例年になく油分が低く、歩留まり悪化によるコスト上昇が見込まれる。さらに連産品の菜種ミールは、落ち着きを見せている大豆相場との関係で価格水準が決まるため、油脂のコスト負担が増している。
こうした状況から、J-オイルミルズは2月から菜種油について40円/㎏以上の価格改定を実施。理研農産化工も5度目の値上げを発表、年明け以降も油脂価格はさらなる上昇が予想されている。
菜種油は幅広い加工食品で使われており、価格高騰のインパクトは大きい。キユーピーがマヨネーズ・ドレッシング類の再値上げを発表したように、来春以降にかけてその影響は広がっていきそうだ。需給ひっ迫の懸念と価格高騰によるレーショニングも予想され、加工用・外食用では可能な限り、大豆油などへの切り替えも進んでいきそうだ。
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