ノンアルコールワイン 生活者意識の変化で脚光 誰でも「ワインの気分」を

大手から新商品続々

コロナ禍以降、健康志向の高まりなどでノンアルコール市場が伸びている。ビールテイストが中心だが、ワインテイストでも広がりが見られ、大手からも発売されるようになった。

21年1-10月のノンアル市場(ビール・RTD・ワイン)は前年比114%と大きく伸長。うちビールが112%、缶チューハイ(RTD)128%、その他テイスト(ノンアル清酒など)は129%といずれも高い伸びだが、中でもワインは140%と高伸長だ(いずれも販売容量)。

背景には、コロナ禍で健康志向が高まりノン・低アルへの関心が惹起されたこともあるが、若年層を中心に「ソバキュリアン」とも呼ばれる「あえて飲まない」層が増えており、この層からの関心も高まっていることが指摘されている。

また、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で酒類提供が制限された際にも伸長した。

ワイン系のノンアル飲料は、ゆったりとした気分が味わえるなど、自分へのご褒美として飲まれる傾向が強くみられるという。また、年末年始だけではなく、ゴールデンウイーク、お盆といった、人が集まりやすい時期にも需要が見込まれている。

飲めない人、飲まない人でも、飲む人と同じような雰囲気を味わいやすく、ある市場関係者は「特にワインという気分を楽しめるものは、満足感が高い」と話し、その効果がノンアルにも波及しつつあるとみる。

国内では湘南貿易などがノンアルワインの普及に取り組み、ナイト業態や一部小売での取り扱いが進んでいた。この流れをにらんで、今年は大手からも商品投入が相次いだ。国内ワイン市場最大手のメルシャンが販売するノンアルカテゴリーは185%と好調。6月にはノンアルサングリア「MOCK Bar(モクバル)」を発売し、特に女性から好評、好意的な声が寄せられている。ハレの日需要や、家庭内需要が見られる。

ワイン輸入で知られるエノテカは、7月にワインテイスト飲料として「ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ」を投入。小売向けへの提案を進め、初動は大きく動いた。その品質がプロからも支持を受け、当初想定比50%増で年内着地の見込みだ。

ノンアルワインは価値の多様化が進む中で、健康志向だけでなく情緒的価値や贅沢感などの需要に応えられる付加価値のあるカテゴリーとして今後も拡大するとみられ、新たなワインの楽しみ方や選択肢の一つとしてシーン提案などが求められており、今年の経験を踏まえたマーケティング戦略が期待される。