昆布茶 伝統分野、SNSで課題解決 需要層拡大、社会貢献も

昆布茶メーカーがSNSを利用した市場の活性化に注力している。各社はこれまで飲用以外に使われるシーンを増やそうと、昆布茶を使った料理レシピの提案や専用商品の投入を進めてきた。冬場に偏り気温にも左右されやすい飲用に比べると、料理向けは年間を通じ安定した需要をとらえることができる。一時は調味料としての昆布茶がメディアに取り上げられる機会が増え、料理利用はある程度浸透した。

だが、全般的にはユーザーの高齢化が進んでおり、業界にとっては若年層の獲得と調味料としてのさらなる定着が課題となっている。こうした中、コロナ禍で在宅時間が長引いた昨年、各社はSNSを活用した販促やECサイトでの販売に本腰を入れ始めた。

大阪の不二食品は現在、ツイッターで約2万9千人のフォロワーを持つ。東京の玉露園食品工業も昨年秋に公式インスタグラムを開設し、今年10月からYouTubeの「玉露園チャンネル」もスタートさせた。

ネットやSNSでレシピを配信し料理利用を促す狙いだが、それ以外の効果も生んでいる。不二食品では今年、コロナ禍で来客数が減った全国の専門店を支援するキャンペーンを実施。「若いお客様が増えたと、お店から喜びの声が届いた。昆布茶の認知度アップにもつながっている」と藤井隆義社長。また、催事が減少したことで増えた在庫を「食品ロス削減セット」として販売する企画が評判を呼び、これまで15回実施した。SNSでこうした取り組みについて呼びかけたことが、社会貢献に関わりたいという一般消費者の思いもとらえた。

また同社は昨年、広島の日東食品工業と手を組んでWeb上で「大阪×広島 ライバル昆布茶メーカー対決」を実施し、大きな反響を呼んだ。昆布茶を使ったご当地メニューの対決が話題を集め、調味料としての認知度を高めただけでなく、それぞれのECサイトで利用できるクーポンを景品にしたことで購買にもつながった。

各社がSNSを効果的に活用することで、調味料としての利用拡大と新たな層の取り込みという重点課題の解決を前進させている。