整腸だけではない乳酸菌のチカラ 月経前症状にも アサヒグループが解明

発酵乳から発見された乳酸菌の健康効果について科学的な検証が始まったのは今から約100年前。そこから乳酸菌に関する研究が世界に広がり、整腸効果をはじめ驚くべき機能やメカニズムが明らかになってきた。アサヒグループでは「カルピス」由来の研究を起源に持つ長年の微生物研究により収集した膨大な乳酸菌ライブラリーを保有。その中から整腸効果にとどまらない特別な力を持った「免疫に働きかける乳酸菌」や「体脂肪を減らす乳酸菌」などを探し出している。この中で最新知見として、「ラクトバチルス・ガセリCP2305株」(乳酸菌CP2305株)で月経前のゆううつな気分や不安感などの症状を改善する可能性が解明された。

アサヒクオリティーアンドイノベーションズの菅原智詞コアテクノロジー研究所第三部シニアマネジャーは「当社調べになるが、乳酸菌摂取によってヒトでの月経前症状の緩和を評価した知見は初めて」と語る。

女性の約90%が、月経の2~3日ほど前になると、むくみ・胸の張り・過眠・苛立ち・ゆううつな気分といった月経前症状を経験したことがあると言われており、これらの症状は月経前のエストロゲンとプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌変動が一因と考えられている。

乳酸菌CP2305株ではすでに、腸と脳をつなぐ神経に働きかけることが確認されている。脳のホルモン調節器官である視床下部―下垂体を介してストレスによる不安感や不眠を軽減することが判明されている。

今回の最新知見はこのメカニズムに着想して編み出された。「女性ホルモンも視床下部―下垂体のコントロールによってその分泌が調節されているのであれば、乳酸菌CP2305株が卵巣や卵巣機能である女性ホルモンの分泌に影響を与える可能性があると考えた」を振り返る。

研究は徳島大学との共同で、同大医学部2~5年(20~35歳)の女性75人を対象に実施された。75人を2つのグループに分け、一方のグループに加熱殺菌した乳酸菌CP2305株を含むタブレットを、もう一方のグループには完全に乳酸菌が入っていないプラセボをそれぞれ月経6周期にわたり摂取してもらった。

月経前(黄体期)の唾液を採取し、女性ホルモンであるエストラジオールとプロゲステロンの濃度を測定したところ「乳酸菌CP2305株群のエストラジオールの濃度はプラセボ群と比較して維持。乳酸菌CP2305株群のプロゲステロンの濃度はプラセボ群と比較して増加した」。

今後は研究対象を広げていくことを検討していく。「今回の試験は健常な方を対象にしたため、今後は日常生活に支障をきたすくらいの症状を持たれている方を対象に試験していくことも考えている」と語る。

アサヒグループの研究開発部門は、19年4月に設立された。中長期的な企業の発展につながる研究テーマに取り組むアサヒクオリティーアンドイノベーションズと各事業会社の研究開発組織で構成されており、互いに連携して研究開発を進めている。

柱となる乳酸菌は、乳酸菌CP2305株に加えて、免疫に働きかける「ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株」、体脂肪を減らす「ラクトバチルス・アミロボラスCP1563株」、健康な高齢者の歩行機能を改善する「ラクトバチルス・カルバタスCP2998株」がある。

参考資料「Kins(キンズ)vol.24」(アサヒグループホールディングス)