たこ焼きと新幹線

出張帰りの新大阪駅で、たこ焼きを買って車中でいただこうとしたら、箱に「新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います」とある。10年前、たこ焼きだけに課せられた処置だそうだ。匂いにクレームが入ったのだろうが、同じく駅構内で販売されている「551」はなぜか課せられていない。

▼買った人よりも買わなかった人の声が意見として重用されることに違和感を禁じ得ない。車中で気軽に食べられる駅弁はいずれ「冷めても旨い」に加え「匂わない」が必須条件となりそうだ。

▼駅弁といえば「峠の釜めし」。秘伝だしで炊き上げた米に9種の具材とお新香。すべてに調和がとれたオールインワンの構成が素晴らしく、しかも「匂わない」。

▼元祖・鉄オタの内田百閒は食堂車で飲むビールが大好物だったが、「阿房列車」や随筆にも駅弁の記載はほぼない。唯一あるのは横浜で購入した焼き飯弁当を食べきれず同行者の「山系君」に譲った逸話程度だ。件のたこ焼きはとうに冷めてしまった。新横浜で途中下車して崎陽軒のシウマイ炒飯弁当を食べたくなってきた。