近畿食品流通業界 残された大市場、進む再編 東から関東資本、西からはドラッグ

「フォローの風に乗っかっただけのところ、先を見据え準備していたところ。その差が出てきた」。関西に展開する卸の幹部はそう指摘する。昨年は巣ごもり効果で軒並み好業績をおさめた食品スーパー。今年は2月から4月にかけて、前年の緊急事態宣言下で大きく伸ばした反動により前年を下回った。

5月以降は再び前年を上回り好調を維持する企業と、水面下から抜け出せない企業との明暗が分かれてきた。それでも、一昨年よりは上回っているという安心感も残る。だが、コロナ禍で一時的に見えにくくなっていた人口減と高齢化は今後も続くし、関西において顕著なインバウンド需要の喪失や、世帯所得の格差拡大などコロナが招いた新たな課題もある。

昨年、関西エリアへ進出し注目を集めたロピアは今年も継続的に出店。奈良県や京都府にも店を開いた。現在は大阪3店、兵庫1店、奈良2店、京都1店を展開。

他地域と同様、ドラッグストアの積極的な出店も続く。既存の店舗においても、インバウンド需要を失ったディスカウントやドラッグストアは食品を強化することで、日常的な消費を取り込もうとしている。

今年の秋以降、関西の食品流通業界で話題を席巻しているのが、関西スーパーをめぐるエイチ・ツー・オーリテイリングとオーケーの争奪戦であることは言うまでもない。

H2O荒木直也社長㊧と関西スーパー福谷耕治社長
H2O荒木直也社長㊧と関西スーパー福谷耕治社長

その行方はまだ分からないが、食品業界の受け止め方はさまざまだ。首都圏に次ぐ一大市場である関西において、「先行するロピアが順調に店舗を増やしていることが、オーケーの進出を誘発したのでは」(広域卸)。あるいは「中四国はイオンばかりになり、九州はドラッグストアかディスカウント。関東のスーパーが関西に魅力を感じるのは当然」(メーカー)、「値段も売場も似たり寄ったりの店が多く、関西の市場は甘いと見られている」(地域卸)といった声が聞こえてくる。

東から迫りくる関東資本、西から攻め入るドラッグストアとディスカウント。大市場とは言え、今後その規模が拡大することのない関西において食品スーパーは一層、激しい競争にさらされている。