食品大手、売上げ堅調も利益は明暗 コスト上昇の圧力強まる 上期業績

3月期決算の大手メーカー各社の上期業績(4-9月)が出そろった。収益認識会計の適用や巣ごもり需要の反動も懸念されたが、上位20社の売上高は2社を除いて増収を確保。引き続き内食需要が堅調なことや業務用の回復基調も寄与した。一方、利益面では原材料コストの上昇などにより8社が減益となった。

日本ハムは加工事業で前年の巣ごもり特需の反動もあったが、ハム・ソーが1%程度のマイナス幅にとどめ、内食化でチルドピザや常温商品が6.9%増と伸長。食肉事業も業務用需要の回復もあって前年を上回り、利益面でも二ケタ増と堅調だった。

畜肉業界では、伊藤ハム米久HDも増収増益。ハム・ソーは家庭用主力品の拡販に努め、ローストビーフなどの業務用商品も回復傾向。ピザ類やサラダチキンなどの調理加工食品、食肉が全体をけん引した。プリマハムはハム大手4社で唯一増益だった反動もあり、増収減益となった。

味の素社は、海外の家庭用製品が伸長、国内は前年の反動減もあったが業務用が復調傾向。利益面では調味料・食品、冷食でコスト上昇の影響を受けたが、ヘルスケアなどの大幅増収により二ケタ増益を確保した。

水産・冷食メーカーでは、マルハニチロ、日本水産が前年に苦しんだ業務用の回復もあり増収増益。ニチレイは、売上高は前年を上回ったが、利益面では新型コロナの感染拡大によるタイのチキン工場の稼働率低下、原材料コストの上昇が響いた。

明治ホールディングスは、収益認識会計適用で大幅減収となっているが、同基準を適用した前年実績との比較では、売上高は実質1.5%増となる。利益面でも過去最高となった前年水準を維持した。

乳業メーカーでは、雪印メグミルク、森永乳業は増収増益。雪印はヨーグルト、デザートなどが好調。森乳もヨーグルト、アイスが好調。業務用の復調や付加価値品の拡販などプロダクトミックス改善も進み、営業利益二ケタ増につなげた。

大手各社とも上期の売上高は堅調に推移しているが、「足元の原料・燃料価格は過去10年で最も高い状況」(味の素・西井孝明社長)というように、下期はコスト上昇に対する危機感が強まっている。

製油業界では、今期すでに4度の値上げを実施。油脂価格は夏以降、着実に上昇しているが、急騰するコストには追いついていない状況。下期以降も菜種、パーム油のコスト環境は一段と悪化しており、5度目の値上げも検討課題となっている。

食用油の値上げに加え、小麦粉の大幅引き上げ、さらにはコロナ後の需要回復と物流混乱による畜肉、乳製品をはじめとする原料高騰、原油高による燃料費や資材費、為替の円安傾向など、あらゆるコストが上昇傾向にある。

すでに多くのカテゴリーで値上げ表明が相次いでいるが、巣ごもり消費が一巡し、内食・中食・外食のシームレスな競争が激化する中で、収益確保に向けて難しいかじ取りが迫られそうだ。

食品大手 2021年3月期 決算
上場食品メーカー上位20社の上期業績