存在感増すコンビニ冷食 大幅拡充のローソン 売場2倍、売上げは5倍目指す

コロナ下での店舗の役割変化から、コンビニでの購買が増える冷凍食品。ニーズの高まりを受けてローソンでは、冷食のメニューや売場を大幅に拡充する。店内調理品などとの相乗効果により、売上を5倍に増やす計画だ。

「お客様の生活様式や価値観が変わったのに、今までと同じ店構えでご評価をいただけるのか。アフターコロナに向かう中で、自宅の一番近くにある店としてのありようを示していきたい」(11月25日の発表会で竹増貞信社長)。

競合各社にとっても、コロナ後の需要獲得へ冷食の強化は最重要テーマの一つ。セブン-イレブンは冷食売場の拡大へ新レイアウト導入を進めるほか、PB冷食の委託先を惣菜ベンダーに広げ、中食で培ったノウハウを生かして品質アップに取り組む。ファミリーマートも、10月から導入した統合PB「ファミマル」では冷食が重要な一角を占める。

ローソンはこれまでにも、素材や惣菜など従来のストック型冷凍食品に加え、コンビニらしい便利な機能を加えた即食型の商品を展開。現在約110種類を発売している。コロナ下でのニーズ拡大に伴い、昨年度の冷食売上高は前年比2割増となった。

緊急事態宣言の解除後もコロナ下で定着したライフスタイルは継続するものとみて、同社では冷食のほか店内調理の「まちかど厨房」やスイーツ、日配惣菜などを強化。売場レイアウトの刷新へ店舗改装にも取り組む。

上期に改装した800店舗では冷食の売場は倍増、品ぞろえは60品から100品に拡大。売上は4割増となった。他カテゴリーの売場拡充効果と合わせ、店舗全体で5~10%の売上改善がみられたという。

今期中に5千店での改装を予定。来期以降に8千店規模にまで広げ、冷食の売上高は25年度までに5倍(20年度比)へと引き上げる計画だ。

「冷食の売上高はトップクラスの伸びだが、既存の取り組みだけでは成長に限界がある」(商品本部長・藤井均氏)とみて、メニュー拡大や即食ニーズ対応など新たな取り組みにも着手した。

容器ごと温めて皿に移さず食べられる丼物や麺類は、店内の電子レンジを使い、その場で食べることも想定。業務用の高出力レンジでの温め時間を併記した。

またデザート類では、解凍せずそのまま食べる新たなおいしさを提案。「ブランのクロワッサン」など健康志向の冷凍パンも用意した。

さらに、流水解凍で簡単に楽しめる馬刺しや、アルコール凍結により解凍時のドリップが少ない真鯛やカンパチの刺身など、従来の冷食では難しかった刺身も1月からエリア限定で販売する。

冷食や店内調理品の販売比率を増やすことで、食品ロス削減にもつなげたい考え。「できたてと冷凍の比率を上げることは品質もおいしさも上げるだけでなく、地球にもやさしいフードロス削減のあり方。お客様の、そして地球の笑顔を増やしていきたい」(竹増社長)。