2013年からユネスコ世界無形文化遺産として登録されている「トルココーヒーの伝統と文化」。トルココーヒーは、銅と真鍮製の長い柄のついた小鍋「ジェズヴェ」の中に水とレギュラーコーヒー(粉)を入れ、100度C近くまで熱せられた砂や炭の上に置いて沸騰直前まで加温してつくられ、フィルターなどで濾過せず上澄みをすすって飲まれる。
ネスレ日本は、この中で飲み終わったカップにソーサーをかぶせて裏返しにしてカップ底に残ったコーヒー粉の模様を通じて運勢を占うコーヒー占いに着目して「ネスカフェ」で異例の販促を展開している。
昨年9月から発売している「ネスカフェ ゴールドブレンド 大人のご褒美」シリーズを対象商品に、コーヒー占いのデジタルコンテンツを公開。そこでの占い結果をツイッターに投稿すると東京・イスタンブール往復航空券などトルコ関連賞品と「大人のご褒美」のセットが当たるキャンペーンを実施している。
11月16日、駐日トルコ共和国大使館でメディア体験会を実施し、キャンペーンの狙いについてネスレ日本の出牛誠飲料事業本部ソリュブルシステム&ホワイトカップビジネス部部長は「一杯のコーヒーを人と人とが会話を弾ませながら飲まれるトルコのコーヒー文化は、『大人のご褒美』に相通ずるものがある。デジタルコンテンツを通じて、豊かで楽しいカフェタイムを過ごしていただきたい」と語る。
トルコのガジアンティプ州産ピスタチオを使ったチョコレート「ネスレダマック」で構築された関係も理由の一つに挙げる。
「今年9月には『大人のご褒美』から新商品『ヘーゼルナッツプラリネラテ』を発売したが、トルコはヘーゼルナッツの一大生産国。こういったご縁がさまざまに重なり、今回ご相談しさまざまなアドバイスをちょぅだいした」という。
デジタルコンテンツで用意している25種類の模様(占い結果)は、駐日トルコ大使館が厳選したもの。エメル・デリノズ・テキン一等参事官は「今回紹介しきれなかったモチーフがたくさんある。占いを職業としている人もいるが、今回はコーヒーの楽しみ方の一つとして紹介した。主婦の集まりやディナーのあとなどに行い、もし1日のうちに複数回占いをしたならば一番良いものを選べばいい」と説明する。
今回のコラボで、トルコのコーヒー文化とともにトルコ産食材のアピールにもつなげていきたい考え。参事官は「19年にはピスタチオのPRイベントをして大成功し、昨今のピスタチオトレンドの一端を担えたのではないかと思っている。同様に、ヘーゼルナッツについても取り組んでいきたい。トルコはヘーゼルナッツの最大の生産国であり輸出国。このようなイベントを通じて、高品質なトルコ産を日本の食卓にお届けしたい」と期待を寄せる。

一方、ネスレ日本はデジタルコンテンツを通じて「大人の贅沢」のさらなる拡販を図っていく。ネスレ日本の調べによると、スティックミックス市場は11年から20年の10年間で1.6倍に伸長した。今年は家庭用コーヒー市場が、コロナ禍の巣ごもり需要で大きく伸長した昨年の反動で前年を下回るサブカテゴリーが多く見られる中で、スティックミックスは続伸している。
「1-6月のスティックミックス市場は4.5%増と非常に順調に推移。その中で『大人の贅沢』をはじめとする当社製品は市場を上回ってご支持をいただいている」(出牛部長)と語る。
同社のスティックミックスの中では、「ゴールドブレンド」はコーヒー感、「ネスカフェ エクセラ ふわラテ」は泡でそれぞれ支持を集める一方、「大人の贅沢」は「カフェバラティメニューとして、甘さやさまざまなフレーバーが求められ、買い回られている」傾向にある。
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