市販用介護食 コロナ禍で環境変化 EC、施設などで利用拡大

今期の市販用介護食市場は、前年を上回って推移している。コロナ禍が続く中、ECなどネット通販での購入機会拡大、人手不足を背景に病院および施設で利用されるケースが増えたこと、市販用介護食を活用したアレンジレシピ提案の充実なども市場の拡大につながっているものとみられる。

市販用介護食は、認知度、売場効率などの問題から量販への浸透・定着が進まず、店頭はドラッグがメーンチャネルとなっているが、日常の買物をする量販での購入を望む声も少なくない。一部、売場立ち寄り率の高い生鮮や惣菜売場付近に「ジャポニカ什器」と呼ばれる回転する什器を配置することで需要喚起につなげた事例もあるが、売場のメンテナンスなどオペレーション上の問題もあり、一気に水平展開という状況ではないのが実情。

そうした中、今期、トピックとなったのが新型コロナ第5波。感染爆発により自宅療養を余儀なくされた感染者に対し、一部自治体が食糧支援物資の一つに介護食を採用したことにより、特定エリアでの8~9月の売上が大幅に伸長した。介護食はこれまでも備蓄用として活用されるケースがあったが、コロナ禍が続く中、メーカーサイドでは備蓄、ローリングストック提案などにも注力するようになっており、活用機会の拡大に向けた取り組みは徐々にではあるが進んでいる。

コロナ禍の中、ネット通販の利用経験率が高まったこともあり、ECチャネルでのまとめ買いも着実に伸びている。あるメーカーのECでのアソート品の今期売上は、前年比二ケタ増で推移しているという。介護食はもともと通販チャネルで購入されるケースが少なくなかったが、今回のコロナ禍は介護食の売り手、買い手双方に新たな気付きを与えるものとなった。

ただ、潜在需要の顕在化はいまだ道半ば。店頭での取り組みに加え、利用者のQOL向上に向けたアレンジレシピ提案、ECチャネル、病院や施設、備蓄、ローリングストック提案など、潜在需要の顕在化に向けた多様な取り組みが求められそうだ。