「もち麦」など雑穀製品を展開するはくばく(山梨県)の取引先米穀卸で構成する全国はくばく会は15日、第60回総会を開催した。
昨年はコロナ禍で中止となり、開催は2年ぶり。会としての活動には今回でひと区切りつけることになった。
はくばくの長澤重俊社長は「コロナもようやく収まり、こうしてお会いできることをうれしく思う」とあいさつ。55年間にわたり販売を支えた会員企業に感謝の意を述べた上で「時は移ろい、米穀店の販売が厳しくなる中で活路を見いだそうとしてきたが、うまくいかなかった。そして今回の節目をもって、この会もいったん休止することにした。今回は区切りであると同時に、新たな出発でもある」として、大麦をはじめとした雑穀をさらに生かす新たなビジネス展開に意欲を示した。
その一つが、米飯との相性の研究だ。
長澤社長は「大麦はごはんと一緒に食べられるのが宿命。これまでお米との相性にあまり関心を持ってこなかったが、もち麦と合う品種など、おいしいコメと雑穀の組み合わせを一緒に提供したい」との考えを述べた。
健康意識の高まりに対応した社員食堂へのダイエットプログラム提供、炒飯と大麦の相性の良さに着目した中華料理店や弁当チェーン、冷食メーカーなどへの提案なども検討しているという。
単純な素材メーカーからの脱却へ、加工度を上げる取り組みにも注力。レトルト加工を行う富士吉田工場を取得したのを皮切りに、煮豆や乾燥フレークを外食や中食に提供するためのオペレーション改善を計画する。
「『売って終わり』の会社から脱却したい。素材を売った後に、お客様がどう使っているかに関心を寄せてこなかった。お客様の生活に寄り添い、お客様の立場で考える。デジタルも活用し、サービスの発想を持てるようにする」(長澤社長)。
ダイエットのために大麦を取り入れたいけど、家族は白米を食べたがる――そんな声に応えた、炊飯器の中で大麦ごはんと白米を炊き分けられる調理道具などのアイデアも披露した。
長澤社長は「世界でも珍しい『ごはんとおかず』という考え方が日本にはある。健康的な食文化の根本は、ごはんとおかず。私たちは、主食を豊かにするためのパートナーになりたい」と宣言した。
なお、昨年度の同会会員卸によるはくばく製品の販売実績は前年比92.6%(7億2千600万円)。コロナ禍の影響で、外食や学校給食など業務用の販売が苦戦した。
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