かけるオイルを500億円市場へ 価値向上の仕掛け続ける 日清オイリオ久野社長

日清オイリオグループの久野貴久社長は、家庭用食用油市場のさらなる拡大に向けて、24年度までにかけるオイルの市場規模を500億円(19年度比130%成長)に引き上げる方針を示した。

20年度の家庭用食用油市場は、過去最高の1千600億円規模を突破した。同社が重点強化を進める、かけるオイルではオリーブオイルやごま油、アマニ油・有機えごま油など「鮮度のオイルシリーズ」を中心とした積極的な提案活動を推進。これにより、20年度のかけるオイル市場は前中計で目標としてきた400億円市場を突破し、食用油の新たな需要創造につなげた。

今期も引き続き、健康性とおいしさを軸にかけるオイルの需要拡大に向けた取り組みを強化する。新たな切り口では、調味料感覚で楽しめる「味付けオイル」のカテゴリー創出を目指し、「日清やみつきオイル」「ボスコシーズニングオイル」のラインアップを拡大。素材の風味が溶け込んだ、味つけオイルの展開を広げ、かけるオイル市場のさらなる拡大につなげる。

久野社長は「油脂の価値向上の仕掛けにより、国内家庭用市場を拡張する」と語り、2024年度までにかけるオイルで500億円の市場形成を目指すほか、クッキングオイルの構造改革(機能性商品・健康オイルなどの戦略商品の構成比40%)、脂質の健康情報発信(4年間累計で3千万人)などの取り組みを積極的に進める方針を示した。

また、健康や美容面で注目を集めているMCTオイルでは、今秋から家庭用製品「日清MCTオイルHC」で機能性表示を取得。「体脂肪やウエストサイズを減らす」機能性表示食品としてのコミュニケーションを強化し、19年度比25%増に向けて順調に拡販が進んでいる。

BtoBtoCの取り組みでは、機能性素材としてのMCTの展開を強化。加工食品メーカー、流通と連携したプロモーション活動により、MCT関連製品の展開を広げるほか、MCTのさらなる認知度向上につなげる。MCTの機能訴求では「脂肪燃焼体質」に続き、外部コンソーシアムとの共創でフレイル対策の取り組みを広げる。

なお、原料高騰に伴う今後の価格改定については「下期も大変厳しい状況で、特にパーム油、カナダ菜種の相場が高騰している。1-3月の原料コストを見極めた上で、相場の状況や価格改定の浸透状況も勘案し、最終判断する」とした。

今期からスタートした中期経営計画「Value Up+」では、新たに「積極投資」「成長性」「持続性」「効率性」の観点から経営目標実現に向けたKPIおよび取り組みを推進するフレームワークを策定。ROICを新たな経営指標として、持続的成長と資本収益率の向上につなげる方針を示した。