ビール類市場 6か月ぶり前年クリア 新ジャンルは反動で上昇

10月のビール類は4月から6か月ぶりの前年超えとなる前年同月比107%だった。酒類提供制限解除により業務用市場が回復基調に乗ったことなどが要因だ。また、第3のビール(新ジャンル)市場は昨年の反動もあり伸び率は大きかった。

東京などでは10月から緊急事態宣言が解除、酒類提供制限も解除されたことから業務用市場が上向き、瓶・樽商品の出荷が好調。キリンビールのビール類は101%、アサヒビール109%、サントリービール114%、サッポロビール108%と主要4社はいずれも前年を超えた。「想定したほどではない」といった声もあるものの、「まだ様子見の消費者も多い」ことから、「新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ感染者が大きく増えない限りは緩やかに回復するだろう」とみる関係者は多い。

狭義のビール市場は96%。昨年10月の酒税率改定でビール減税・新ジャンル増税があったことから、9月に新ジャンル駆け込み需要が発生し、10月にビール需要が缶を中心に増大。今年はその反動が表れたとみられ、また、業務用市場の回復が緩やかなことも響いたとみる市場関係者もいる。

キリンのビールは85%、主力の「一番搾り」92%。サントリーは104%、「パーフェクトサントリービール」120%と好調。サッポロは98%、主力の「黒ラベル」83%、「ヱビス」88%。アサヒ「スーパードライ」は100%、缶は109%。

一方で新ジャンル市場は126~127%と膨らんだ。昨年10月は増税で落ち込んだこともあり、今回の数字は「あくまでも反動」という見方もあるが、落ち込みが続いたこともあり、「前年超えは続くのでは」との声は多い。一方で、税率改定でビールと新ジャンルの価格差が縮まっていることから「やはりビールが優位になるのでは」との見方もある。さらに業務用が復活すればビールがメーンになることもあり、新ジャンルの数字がどう推移していくかは不透明だ。キリンの新ジャンルは123%、「のどごし〈生〉」128%、「本麒麟」150%。サントリーは119%、「金麦」124%、うち「同〈糖質75%オフ〉」は165%と大きな伸び。サッポロは156%、「麦とホップ」118%、「ゴールドスター」229%。アサヒは「クリアアサヒ」132%。

発泡酒市場は101%と堅調。健康志向の高まりが続き、追い風が続いている。キリンは97%、「淡麗グリーンラベル」は97%だが年末年始需要が高まるとみて11~12月は当初計画比約1割増産。「淡麗プラチナダブル」は約3割増産。積極的な販促も仕掛ける。

アサヒ「スタイルフリー」も好調が続き10月も112%。13か月連続の前年超えだ。

発泡酒はコロナ禍で改めて見直された形だ。家庭での飲用シーンで再び定着の兆しもあり、業務用が復活しても家飲みシーンで一定の需要が残るとみられる。