キリンビール堀口次期社長 高付加価値で収益構造改革 対話を通じて発展を目指す

9月1日に急逝したキリンビール前社長・布施孝之氏の後を継ぎ、22年1月1日付で社長に就任することが内定した堀口英樹氏。人望の厚かった布施氏の後任になることについて、9日の記者会見で「大変重たいバトンを受け継いだ」と覚悟を示した。

堀口氏は1985年にキリンビールに入社。直近15年弱はビール社から離れており、久々の復帰だ。ビール類など酒類市場はコロナ禍で厳しい状況だが、キリンホールディングスの磯崎功典社長は「現場に寄り添い、課題を解決しながらビールの魅力化、活性化に向けて中長期的な視点で取り組んでくれると確信している」と話す。また、米国でMBAを取得し、豪州や米国での勤務経験もあり「世界を見聞きしてきたことが国内のビジネスでも重要な要素になる」と期待を寄せる。

堀口氏は「前任の布施氏は懐が深く、社内外で多くの方々から愛された素晴らしい社長だった」といい、コロナ禍で生活者の意識、消費行動が変化する中でキリンビールは「全ての判断基準をお客様に置くというぶれない軸をベースに組織風土を改革し、成果を挙げてきた」とみており、環境変化に迅速に対応することと「ぶれない軸、変わらない哲学」を両立させながら「挑戦していきたい」と意気込む。

国内のビール市場について「将来に向けて厳しい状況」との認識を示すが「キリンビールは強固なブランド体系の構築方針のもと、『一番搾り』『本麒麟』といった主力を伸長させた」。今後に向けては「成長のみならず収益構造改革が必要だ。例えば「スプリングバレー豊潤<496>」や「ホームタップ」といった高付加価値のビールを拡大するなどしてビール市場の活性化を進める」と話し、「結果にこだわって経営を進めたい」とする。

16年から清涼飲料などを扱うキリンビバレッジの社長を務めてきた。商品の社会的意義を定め、CSV(消費者や社会と共有できる価値の創造)の考え方、ブランドを通じてより良い社会の実現を図ってきた。

この中で、従業員との対話を進め、既に2千人以上と座を重ねた。キリンビールでもCSV哲学を底流において、対話を通じて理解を醸成しながらチーム力を高める中で持続的に発展していく企業を目指す考えだ。

キリンビバレッジではいち早く健康領域に目を付け、成果を挙げてきており、磯崎氏は「キリンビールも健康に配慮した商品を展開しており、(堀口氏も)ここに注力した戦略を実行するのでは」とみる。堀口氏は酒類を通じた健康配慮について「アルコールを摂り過ぎないといった点もあるが、コミュニケーションや絆といった場を作る役割もあり、多くの方がリフレッシュできるなどの社会的な健康も考えていきたい」と語る。

布施氏は後任として堀口氏を推していた。小岩井乳業でも布施氏と共に働き、14年に社長職を引き継いでいる。引継ぎの最後の日に「従業員が前を向いて働ける会社にしてくれ」と言われた。「今回は直接聞けないが、そう言ってくれているんだろうな、と思う。布施氏がやりたかったことを継いで、付加価値を加えて良い会社にしていくことが使命だと思う」。