ヤマモリの未来へ全社一丸「YTA」プロジェクト本格始動 三林憲忠社長

1889年創業。醤油の醸造を出発点に、液体スープ、レトルト食品、タイフードなど事業領域を拡大。総合食品メーカーとして大きく成長してきたヤマモリ。21年3月期は、コロナ禍という未曽有の事態の中、売上高は単体262億円、連結314億円と、ともに過去最高を記録した。

しかし「それは神風が吹いただけ。本当の実力ではない」と三林憲忠社長は断ずる。巣ごもり需要が追い風となり、家庭用部門が高伸。業務用も外食向けは苦戦したが、PB・OEM分野もその多くは家庭用商材として特需の恩恵にあずかった。

「自分たちの力で売上、収益を上げる体制を作らないと生き残れない。それを実現してこそ、社会やお客様の変化に対応できた証となる」と三林社長は語る。

22年3月期(71期)は、第7次3か年計画の初年度がスタート。そして「ヤマモリの未来」を見据えた事業再構築プロジェクト「YTA(ヤマモリ ターン アラウンド)」も本格始動した。

「YTA」では、「生産性向上」や「原材料コスト削減」「ブランド戦略」「デジタルマーケティング戦略」「アセアン成長戦略」など収益性に直結するものから、社内公募でメンバー構成された「従業員満足度NEXT」「SDGsへの取組」など全22のワーキンググループ(WG)を設置。全社員が参加、部門横断で戦略立案・行動し、競争力・収益力の向上を目指す。

「企業経営というのは変化対応業。メーカーとしてのモノづくりの精神を置き去りにすることさえなければ、あとは時代のニーズに沿ったことを好きにやっていけば良い」と背中を押す。

祖業の醤油では無益な価格競争から脱し、ギャバ醤油など健康軸へのシフトを強める。また、タイフード・タイカレーの展開や、近年好評を博している「無砂糖」シリーズなどを貫くのは、「ニッチ№1戦略」であり、それをとことん突き詰めること。

「われわれの企業体力では、やれることに限界がある。ニッチで生き残るには、ヤマモリはここまでやるかと言わしめることが重要。そこに大手が参入してきたとき、われわれのやってきたことが認められたのだなと確信に変わる」。

タイフード・タイカレーも、現地契約農場で栽培された生のハーブ・スパイスを使用し、本場・本物にこだわってきた。「攻め続けることで、既存のマーケットを守っていきたい」。

海外展開は、タイをハブに世界各国にマーケットを広げてきた。タイの子会社の業績も好調。「現在の売上は30数億円。グループの成長ドライバーとして100億円を目指して頑張れと発破をかけてきたが、それも冗談ではなくなってきた」という。タイの中間層への浸透をいかに図っていくかが飛躍のカギとなる。