革新!ミルクやはちみつも溶け出すティーバッグ 劇的進化「日東紅茶」の開発体制とは? 三井農林・佐伯社長を直撃

「日東紅茶」ブランドを展開する三井農林の開発体制が昨年から劇的に進化を遂げ家庭用市場やEC市場で話題商品を連発している。

直近では、家庭用市場へ新たに投入した茶葉とミルクが一体となった新型ティーバッグの「ミルクとけだすティーバッグ」はSNSなどで話題となり、「はちみつ紅茶ティーバッグ」は流通から注目を集めている。

「ミルクとけだすティーバッグ」は、ティーバッグ内にミルク成分であるクリーミングパウダーと茶葉が入っており、お湯を注ぐだけで茶葉本来の香りが楽しめる砂糖不使用のミルクティーが簡単に味わえるのが特徴。

ティーバッグからミルクが溶け出す(日東紅茶 ミルクとけだすティーバッグ)
ティーバッグからミルクが溶け出す(日東紅茶 ミルクとけだすティーバッグ)

一方、「はちみつ紅茶ティーバッグ」もティーバッグ内に粉末はちみつを練り込んだ顆粒が配合され、お湯を注ぐだけで顆粒がとけだし甘いはちみつ紅茶が出来上がるものになっている。

そのほか「日東紅茶」初の機能性表示食品といった目新しい商品が投入されるなど商品面において以前と異なる動きをみせている。

「日東紅茶」の開発体制に一体どのような変化があったのか?

三井農林の佐伯光則社長を直撃すると「現場の声や肌感覚を重要しつつ、AIやDXを駆使した“Data-Driven & Scienceアプローチ”を商品開発の基本方針に取り入れた点が大きい」と説明する。

売場に並ぶ「はちみつ紅茶ティーバッグ」(日東紅茶)
売場に並ぶ「はちみつ紅茶ティーバッグ」(日東紅茶)

具体的には、商品開発の発端となる最初の着想は現場の声を取り入れ、それを徹底的にデータ分析してふるいにかけていく。

「“こんな商品が売れるのではないか”と気づきを与えてくれるのは企画や営業の社員で、このようにして集められたアイデアをデータ分析で裏付けていく。分析はとても冷徹で我々が“いける”と思ったものも即ダメ出しされてしまう」という。

データ分析にあたっては、海外から取り入れた最新のトレンド分析やAIシステムを活用している。

その最初の成果として挙げられるのが、今年3月に発売したスティック粉末飲料の「至福のシャインマスカット」。

同商品の開発段階でAI分析したところ、今後も成長が見込めるワードであることが導き出された。

販売は上々で、春夏は「ロイヤルミルクティー」「C&レモン」のスティック粉末飲料定番2品に次ぐ売れ筋となった。店舗によっては「C&レモン」を抜き去る勢いをみせたという。

このようなデータとサイエンスにこだわった商品開発をより強力に推進していくため、昨年12月には組織改編に着手した。

家庭用・飲料原料用・業務用といった商品・領域別に分かれていた組織を統合し、企画系と営業系といった機能別に分けることで、社員一人一人の視野を広げることを狙いとした。

すでに昨秋頃から組織改編の方向へ動き出し、その手応えとして「商品開発にあたり委託工場を決める際も、家庭用や業務用を含めた全社最適の観点で考えるようになった。組織的に動きやすい設計したことで人的交流が活発になり、開発における視座の変化もみられるようになった」と語る。

こうした体制下で開発された商品は今は家庭用商品のみに留まるが、業務用の商品開発での展開も視野に入れたもので、コロナ禍の収束の兆しがみえ次第、業務用市場への提案も視野に入れる。

新たな販路開拓としてはECや海外に取り組む。

高質ブランドの旗艦店「nittoh.1909」(三井農林)
高質ブランドの旗艦店「nittoh.1909」(三井農林)

ECは家庭用の「Tea Mart」と業務用の「TEA BREAK」の既存のECサイトに加えて、4月に「nittoh.1909」をグランドオープンした。

「nittoh.1909」は、同社の高質ブランドの旗艦店として展開している。滑り出しは順調で計画を上回っているが「ハイエンド開拓は時間がかかることから中長期を見据えて取り組んでいく。売上げをつくるのではなく、価値を認めて下さった結果、売上げがつくような形にしていきたい」と述べる。

「nittoh.1909」では、紅茶の魅力を伝えるハイエンド商品の展開だけでなく、菓子屋シノノメとのコラボ商品も好評。会員特典のオンライン茶園セミナーなどは定員を大幅に上回る応募があったという。

「消費者の紅茶に対する関心の高さを痛感し、リーディングブランドとして様々な取組を率先していく」と意欲をのぞかせる。

家庭用の「Tea Mart」は、楽天で展開している従来の「Tea Mart」をアウトレット専門店として改組し「日東紅茶Tea Mart」を新設して「日東紅茶」全般の旗艦店と位置づけている。

この「日東紅茶Tea Mart」で好評を博しているのが、昨年に続き第2弾となる人気オンラインゲーム「刀剣乱舞」のキャラクターとのコラボ商品で「前回に引き続きSNS上で大きな話題を獲得することに成功した」。

業務用の「TEA BREAK」は、緊急事態宣言の影響により外食での需要が大幅に減少する中で比較的堅調に推移。19年の事業立ち上げから累計で2000件強の顧客を獲得した。

今後には「既存の卸売業を通じたビジネスモデルが新規参入の足枷になっていた新規顧客層への浸透を図っていく」。

海外については、昨年から中国に輸出。「まず中国から展開していく。越境ECルート・並行輸出ルートの商流を停止し、その代わりに当社が立ち上げたEC旗艦店や現地の日系コンビニやスーパーを中心としたチャネルで正規輸出品の導入拡大を進めている」。

中国ではSNSを通じたプロモーションも推進し、EC旗艦店では約6万人のフォロワーを確保。現地法人の設立にも着手し現地製造・開発体制確立に向けて対応を加速している。

SDGs・サステナブル・社会課題解決への取り組みとしては、基幹商品の「デイリークラブ」は50年以上親しまれたプラスチック容器(ボンカップ)から紙カートン容器に変更することで、プラスチック資材を年間約50トン削減。

また、ティーバッグの金属の留具をなくす改良も実現し電子レンジ調理にも対応できるようにした。

健康面では「紅茶の香りが睡眠の質向上に効果があること」「紅茶の連続飲用が体の免疫機能を向上させること」などの機能性研究を推進中。既に発見されている「紅茶ポリフェノールがインフルエンザウイルスを不活化させる」という機能などについても研究を継続している。

「これらの基礎研究の成果は、今後の機能性表示食品開発のシードにするとともに紅茶の機能性を消費者に発信するツールとして活用することを目指していく」という。

全体戦略としては、コロナ禍後のニューノーマルを見据え、徹底した生産合理化とデマンドプル型の販売チャネルの拡大の2つを柱とする「NN(ニューノーマル)戦略」を策定して実行に移している。