森永乳業 大貫陽一社長 独自の立ち位置築き健康栄養で貢献できる企業へ

「『社長としてどういう会社を目指すのか』ということだが、国内外を問わず、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く、健康・栄養で貢献できる企業だ。それには独自性というものが必要。独自の立ち位置を築き、さまざまなステークホルダーに選んでいただける会社、共感していただける会社、健康・栄養への貢献だけでなく事業を通じサステナブルな社会の実現にも貢献できる企業を目指したい」。今年6月、社長に就任した大貫陽一氏が目指す「森永乳業」像について語った。

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弊社は長期ビジョン(森永乳業グループ10年ビジョン)として、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」という三つのビジョンを掲げているが、「独自の存在感」が生き残るために一番大事なものと考えている。

中期経営計画の三つの基本方針は「4本の事業(BtoC、ウエルネス、BtoB、海外)の柱横断取り組み強化による持続的成長」「経営理念実現に向けたESGを重視した経営の実践」「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」だ。

四つの柱のうち、当初計画から利益を大きく伸ばしているのがBtoCと海外だ。BtoBはコロナの影響を受けている。徐々に改善してきているが、コロナ前の状況にはまだまだ及ばない。基本方針「基幹ブランドの更なる強化」の中で現在、注力しているのが機能性ヨーグルトだ。「トリプルヨーグルト」に続き、「ビヒダスヨーグルト便通改善」「メモリービフィズス記憶対策」を発売した。いずれもしっかりしたエビデンスに基づいた機能性商品だ。工場の製造ラインも利根工場に設備投資し、来年5月に稼働開始する予定で進めている。

ビフィズス菌、独自シーズについてはいろいろな形で展開している。腸内フローラの啓発を進めている。脳と腸は相関が強いということが分かっているので、「ビフィズス菌=森永乳業」ということをご理解いただくための取り組みを進めている。国内菌体BtoB売上高は、この5年間で約3.5倍に拡大している。ビフィズス菌BB536、シールド乳酸菌などを中心に拡大を図っていく。

海外事業だが、特に貢献しているのがミライ社。2018年から黒字化した。その後も業績を伸ばし、グループの利益に大きく貢献してくれている。東南アジアではベトナムのElovi(エロヴィ)社の株式を100%取得した。ベトナムでBtoCビジネスに参入したいと考えている。5年後には、ほかの商売も含め、ベトナム全体で100億円という売上高を目指す。

「ESGを重視した経営の実践」で、特に重点を置いているのが健康・栄養だ。機能性素材を使った商品や栄養価値のある商品で皆様の健康寿命延伸に貢献していくとともに、乳幼児の健やかな成長にも貢献していく。

もう一つの大きな柱が環境だ。「CO2」「プラスチック」「水資源」「食品廃棄物」の四つを非常に重要な領域ととらえており、それぞれに使用量、削減量のKPiを定めて取り組んでいるところだ。事業を通じて環境負荷削減の取り組みも進めていきたい。

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大貫陽一(おおぬき・よういち)氏。1959年12月4日生まれ61歳。1983年4月森永乳業入社。取締役常務執行役員経営企画部長、常務取締役常務執行役員経営戦略本部長、専務取締役兼専務執行役員経営戦略本部長(2019年6月)などを経て、2021年6月から現職。