人手不足や生産合理化の推進を理由に、世界的にプレミックス需要が高まっている。製粉企業にとっては成長のカギを握る重要なテーマだ。昨年は品薄が続いた家庭用プレミックス。インテージの調査によると、今年9月までの家庭用プレミックス販売額は前年同期比14.8%減の247億5千万円。特需の反動を受けた格好だが、参入メーカー各社からの聞き取りでは、カテゴリー別では今年の出荷量が一昨年比の1~2割増という回答も目立つ。内食需要の底堅さが見て取れる。
今年9月までの家庭用プレミックスの販売状況は天ぷら粉が前年同期比10%減、から揚げ粉8%減、お好み焼粉12%減、たこ焼粉15.6%減、チヂミ粉3.8%減、ホットケーキ27.2%減、パンケーキ28.6%減と軒並み前年実績を割った。昨年2月から夏場まで続いた爆発的需要の大きさを物語っている。
一方、冷え込みが続いていた業務用市場だが、日本プレミックス協会の統計によると今年8月までの生産量は前年比4.1%増に。4月以降は5か月連続で前年実績を上回った。ニューノーマルが浸透し、制限のある中でも外食産業にやや明るい兆しが見えてきた。国民の行動制限緩和や飲食店の時短営業解除などが実現すれば、業務用プレミックスの出荷もさらなる改善に向かうだろう。
プレミックスは、カテゴリーによってトレンドが大きく異なる。天ぷら粉は、昨年からの上下動が少なかった品目の一つ。昨年は4、5月の販売が二ケタ増で、夏場に一服したあと10月から12月にかけて再び盛り上がった。若年世帯の喫食機会も増えたようだ。から揚げ粉は、ここ数年市場は頭打ち。在宅率が上昇した昨年も伸び率は2.5%増にとどまった。バラエティーに富んだ商品展開が特徴。まぶし、漬け込み、水溶きのタイプが存在し、最近では台湾のジーパイを家庭で再現できるようなから揚げ粉や、肉を柔らかくジューシーにするから揚げ粉など独自性の強い商品も登場している。
ホットケーキミックスは、昨年最も出荷が伸びたプレミックス商品。今年はここまで揺り戻しの影響を受けているが、主要メーカーは一昨年を上回る出荷量を維持。市場のパイは着実に拡大している。簡便を売りにした商品や、親子で楽しむことを想定した商品、絵本に出てくるケーキを再現した商品など、「楽しさ」を売りにした商品が多い。また、カフェのケーキの味を再現するなど味や品質にこだわった商品も受けている。
昨年のお好み焼粉とたこ焼粉は、ホットケーキミックスに次ぐ需要の高まりを見せた。今年の販売は昨年の8割台にとどまっているが、8月、9月は前年を上回る勢いで伸びた。
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