おいしいだけじゃつまんない!年間300品発売、バンダイの食玩 大人や女性にも購買広がる

キャラ事業強みに成長の異端児

玩具菓子は300億円前後の市場だったが、5年前と比較すると21年度は25%増の386億円と大幅に伸長した。また、21年1~5月で売れた、日用消費財売れたものランキング(インテージ調べ)によると、玩具メーカー菓子は販売金額前年比53%増で3位、19年比では203%とコロナ禍で急成長したカテゴリー。昨年から続く「鬼滅の刃」人気がけん引したことは間違いないが、それだけに留まらず次々にヒット商品が生まれている。食玩市場4割以上のシェアを持つトップメーカーのバンダイ執行役員キャンディ事業部ゼネラルマネージャー川田裕二氏に話を聞いた。

――玩具菓子に参入されたきっかけを教えてください。

川田 日本での玩具菓子の始まりは1920年代のグリコさんだと言われているが、当社は1981年に菓子市場に参入した。おもちゃ屋からスタートした企業のため、おもちゃのタッチポイントを増やし、販路を広げていくために玩具に少しのお菓子を合わせて展開するような、他の菓子メーカーさんとは逆のアプローチをしていた。ただ、今では玩具メインの菓子に加え、「菓子」と「カードなどのアイテム」の価値が半々の商品(以下、コレクション菓子)やお菓子だけの商品(以下、定番菓子)と広げている。

――前3月期の概況はいかがでしたか。

川田 食玩は昨対51%増で着地。特に食玩の中でもウエハースにカードが付いているコレクション菓子の鬼滅の刃やツイステッドワンダーランド(以下、ツイステ)のキャラクターがけん引し昨対268%と大幅に伸長した。それ以外にも全体的にキャラクター商品が伸びていて、5年前の妖怪ウォッチ以来のヒットが続いている。ただキャラクターだけの要因ではなく、コロナ禍で外出自粛やイベントに行けない、旅行に行けないなどの理由から、身近なエンターテインメントとして火が付いたのかもしれない。

――他の菓子メーカーにはない強みは。

川田 他社のお菓子メーカーさんと比べると、キャラクター事業を長年続け、ノウハウと知識はダントツだと思っている。キャラクターをデザインに載せるだけではなく、当社はキャラクターをどう生かしていくかを企画開発のポイントの一つにしているのが、他社との差別化を図れるところ。世界観でいうとデザインはもちろん、メディア展開に合わせた商品の発売タイミングも注視している。食玩は年間約300SKUを菓子流通様向けに出荷しており、流通菓子メーカーの中では相当異端児だと思う。

――玩具菓子の小売からの評価は。

川田 7年ほど前は、玩具菓子といえば子ども向けが主流だったが、その後大人をターゲットにしたガンダムや仮面ライダー商品が増え、特に男性に多く購入いただいていたが、ここ2~3年でさらに購買層は広がり、女性も多く購入いただいている状況。さらに昨年ツイステが爆発的に売れたことで、20~30代女性の購入・来客につながった。小売店様からは、利益が多い商材ではないが集客につながり売上も取れる商材だと評価をいただいている。また、オープンパッケージの食玩は消化傾向を予測してアソートしているがどうしても残ってしまうことがある。ただ、クローズドパッケージのコレクション菓子は、大量買いの傾向やロスが出ないため小売店様からの人気が高まってきている。

――クローズド商品はお菓子が捨てられてしまうなんてこともあるようですが。

川田 カードを目的に買っていただくことは嬉しいが、ちゃんとお菓子も食べてもらえるように味にもこだわっている。また、一部商品はウエハースを個包装にしたところお客様から支持されている。

――今期概況と方針を教えてください。

川田 上期は食玩で31%増と昨年に引き続き好調。昨年、多くは商品化していなかった「鬼滅の刃」の商品をボリューム展開できていることが大きく寄与している。下期は、来年1月に諸経費の高騰に伴い、品質を維持するため価格改定を予定している。

今期方針は、コレクション菓子と定番菓子、海外事業にも注力していく。コレクション菓子はウエハースやカードが主流となっているが、ウエハースだけでなく他の菓子の種類や、カードではなくラバーマスコットやマグネットなどにチャレンジするなど、幅を広げていきたい。定番菓子は、「封印開放おばけチョコ」や「電撃ザクパチチョコ」を今秋発売し初動は好調。美味しいのは当たり前だが、食べて楽しめるというコンセプトのもと「おいしいだけじゃ、つまんない」をキーワードに商品を企画していく。チャネル別にはDgSの構成比がまだまだ低いため、玩具菓子が伸びている今だからこそ積極的に攻めていきたい。海外は、中国市場の構成比が高く、昨年から海外チームを作り本格稼働したことが要因で、上期300%と飛躍的に伸び、まだまだ開拓する余地があるため今後さらに注力していく。

営業施策は、今春発売したグミにチョコレートをコーティングした「モグッと誕生!恐竜エッグチョコ」のTVCMを放映、コレクション菓子は今まで大々的なプロモーションは仕掛けていなかったが、マストバイでバーコードを12枚集めるとファイルが必ずもらえるキャンペーンを鬼滅の刃・呪術廻戦・ドラゴンボールと連続して実施したところかなり反響がいい。また、興味がある方に買っていただけるよう鬼滅の刃の番組の中で鬼滅商品のTVCMを流すなど力を入れている。昨年あたりから爆発的に数字が伸び、一過性のものにしないためにも販促をきっちり入れ実売を出して、消費者の方にも流通様にも「バンダイの菓子いいよね」と思ってもらえるよう根付かせていきたい。

食玩市場規模 富士経済調べ
富士経済調べ