朝定百景

牛丼店の朝の風景が好きだ。朝定食も最近は種類が増えてきたがなにより卵かけご飯の食べ方が十人十色で、他人様のそうした模様を見ているだけで楽しい。「朝定百景」と密かに名付けている。

▼まずは卵を溶くタイミング。ご飯にかける前か、白飯の真ん中に穴をあけて卵を落とした後か。それでは醤油はいつかける?ご飯に卵をかけたら、少しずつ周囲とまぜながら食べる人、ご飯をすべて黄色に染めあげる人。最近は白身をメレンゲ状にしてご飯にまぶし、そこに黄身を落とすなんていう離れ技もあるようだ。

▼スーパーに行くと卵かけご飯の「専用醤油」も数多く見かける。オリーブオイルやトリュフなどを使った洋風も増えてきた。特に地場メーカーが作る商品は地域の嗜好に基づく醤油がベース。いろいろ試してみるのも面白い。

▼先頃、落語家の柳家小三治氏の訃報が伝えられた。師匠の高座や著書「ま・く・ら」をきっかけに、“俺流”の卵かけご飯を確立した人も結構いるのではないか。師匠曰く「あまりかき混ぜないこと」。仕事や人間関係にも通ずるところがある。