生後1歳未満の赤ちゃんを助産師に預けて休息をとったり、助産師への育児や身体に関する相談や子育て家族らとの交流促進を目的とした通所型産後ケア施設が沖縄県浦添市に新設された。現役助産師の島袋綾香氏が発案し、島袋氏の知人(ネスレ日本社員)を通じてこのアイデアに賛同したネスレ日本が施設づくりに協力。コミュニケーションを促進するものとしてコーヒーも提供する。
施設名は「zeroplace supported by NESCAFÉ」。9月2日のプレオープンを経て10月14日に本格営業を開始した。
同施設の特徴について、10月13日発表・内覧会に臨んだ島袋氏は、家族の気分転換にもつながる通所型であることに加えて、助産師常駐で産後ケアに特化した点を挙げる。「産後ケア事業の主な受託施設は病院・クリニック・助産院だが、本業のかたわらで産後ケアを行っているのが現状。ここでは助産師が常駐し、産後ケアをメーンのサービスにしているところが大きな違い」と説明する。

病棟・外来勤務で約3千組の母子に関わってきた経験から、病院での産後ケアには限界があることも指摘。「病院ではコロナ禍で受け入れを制限しない」と述べる。
産後ケア事業を委託する浦添市の松本哲司市長は「保健センターを中心に知識を持つ職員が訪問やご相談に応じているが、保健センターのような行政的なところではなく、もっと柔らかい場所に気張らしも含めて訪れてもらい、多くの人に囲まれながら元気と知識が得られる場所になってほしい」と期待を寄せる。
同施設は“産後の自分時間をここで”をコンセプトに、ベビールーム・授乳室・仮眠室などを備え乳児が安全に過ごせるほか、ラウンジを併設し大人もリラックスして過ごせるように工夫が施されている。
ラウンジは、「Yogibo(ヨギボー)」のビーズソファを用意しゆったり過ごせるように設計。
この一角を占めるドリンクコーナーではマシンが設置され、妊娠中や授乳中の女性でもカフェインを気にせずにコーヒーの淹れたての香りと味わいを楽しめるように「ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス」などが飲めて、気分転換や子育て家族らとの交流が図れるようになっている。
ネスレ日本の髙岡二郎飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&RTDビジネス部部長は「コーヒーには人と人をつなぎコミュニケーションを活発化させる働きもある。『ネスカフェ』を通じて産後の不安解消をサポートしていきたい」と語る。
生後1歳未満のゼロ歳児とその母親・父親らが利用でき予約制となっている。
ラウンジの利用料金は飲み物込みで1時間500円。助産師を介するサービスとしては「ベビー預かり」(2時間3000円)「乳房ケア」(1時間4000円)「育児相談」(30分2000円)「沐浴指導」(1時間1000円)「授乳介助」(1回2000円)「骨盤ケア」(50分5000円)を用意。1~2割程度の利用者負担で利用できる行政委託産後ケア事業も行っている。
産後ケア事業は、「母子保健法の一部を改正する法律」が今年4月1日に施行されたことで市町村の努力義務に定められ、宿泊型・訪問型・通所型の3パターンで実施されている。
出産と沖縄の現状について島袋氏は「近年の核家族化やライフスタイルの変化で近くに頼れるご家族がおられない方が多い。沖縄県は合計特殊出生率が全国1位であるにもかかわらず離婚率が高く、さらに離島県のため移住者はご家族からの継続的な支援が受けづらい」と訴える。

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