上ものは百貨店の時代終了 売場は自分達の努力で作るもの 小浅商事 白羽洋社長

–日本で唯一小浅商事さんだけが問屋商売を続けています。中小の海苔屋さんの動向はどうですか。

白羽洋 社長(以下 白羽) 加工メーカーの中には前年比をクリアしたところもあるようだが、思ったほど捌けてない。比較的いいのは大手程度だろう。地方のメーカーは大手SMに入っていればいいが、そうでなければ売上は芳しくない。重要なのは業界を挙げて枚数を売ること。それがメーカーや生産者にとって一番いいことだ。生産者には生産するための補助金が出ているが、商社側へも売るための補助金を国に考えてもらいたい。

–漁期が短くなり、温暖化の影響もあって生産量は下目線ばかりです。

白羽 そう。前期は瀬戸内海が少なく兵庫も11億枚台となったが、兵庫県漁連から6月に法改正があり、窒素の補充ができるようになったと聞いた。豊かな海造りの一環で、そうなれば生産状況はいくらか好転するだろう。

有明でも生産量が減り、今年も3県で約70軒強減っている。有明の各漁連漁協によれば、空いたコマをよそに回しても、今までの棚数は確保できなくなっているようだ。ちょっと前までは40億枚を採っていたが前期が39億枚、いずれ35億枚程度になってしまうと思うし、全国でも65億枚で豊作ということになるだろう。

–気になるのは来漁期です。御社はCVSをやっていますが、海苔の捌け具合はどうですか。

白羽 昨年並みの枚数ベースだったので必要分は確保していくが、全体的には低調だ。CVSも以前のようには戻らない。社会が変わり戻りようがない。ならば一昔前の恵方巻きのように、海苔業界みんなで何か新しいことを始めなければならない。上ものがデパートで売れる時代ではなくなったなら、自分達で売っていかなければならない。

–業務用が多いメーカーに今後どうするかを聞いたら、30代の息子達が入ってきて自社のNBをもっと売っていこうということでした。父親世代は無理ですが、若い世代は自分達の会社を世に知って欲しいという気持ちがあり、NB回帰をしています。小浅商事はどこへ進むのでしょうか。

白羽 上ものは自分達で売り始めている。「バラ干し」も工場を作って7〜8年が過ぎたが、これまでの流通形態を見直し手売りを考える必要がある。「バラ干し」も漁期が短くなり、生産を効率化しても一工場ではトータルの数字はこれ以上は増えていかない。2〜3月はバラ干しのフル稼動だが、その前後で量が採れないので厳しい。

–いっそのこと海苔を離れて、他の食材や事業を始める方法もあります。トップになって領域開拓、多角経営など考えることはありますか。

白羽 先代達が結果を出している(笑い)。また、海苔屋を買ってくれという話しもあるが、当社がそれをやってもメリットはない。小浅という会社は、自分達の営業努力で売場を作っていくものだという教育を受けている。また、海苔がたくさん売れれば、業界全体がよくなり、当社も生産者もみんなよくなると、昔から教えられている。

一方、海外は今と同じように力を入れていく。コロナは収束していないが、米国・欧州も需要は回復してきている。また、海外の売場を見ていると海苔はスナックだ。寿司とおにぎりばかりではなく、日本でもスナックでバリバリ食べてもらう時代を作りたいと思う。

–韓国は昨年145億枚、日本が64億枚、中国が49億枚。韓国海苔の輸入シェアは15%になっています。国産は今後減っていき、韓国産のシェアは増えていきます。

白羽 韓国海苔は、今年の入札会で6億3千万枚あったが3割は不成立。これまでは需給バランスがよく全部成立していたが、コロナもあって消費が減り余ってしまった。韓国海苔の輸入枠は2025年まで増えていくだろう。ただ、枠がいくら増えても日本のマーケットは国産で足りるとなれば、いくら韓国の生産量が増えたとしてもそんなに入ってこないと思う。

また使い道も決まっている。業務用でも価格対応のゾーンだったり、味付け海苔も下ものは韓国海苔に置き換わってきたが、中級以上では少ない。そうした使われ方は変わらない。韓国勢が入ってきても決まったゾーンだけ。CVSグレード以上の海苔の質を落とさず徹底して作れば、味・柔らかさを含む質で外国産に対抗できると、有明の生産者とはよく話している。

上ものマーケットはギフト市場が減少し、海苔屋さんが自分達で売り始めたが、もっと海苔の商品価値を上げていく必要がある。いい海苔が広まれば日本の海苔はもっと売れるだろうし、外食だって価格が多少高い程度なら国産を使おうとなる。

–韓国といっても需要がなければ攻めてこないと。

白羽 攻めては来るだろう。対抗策はいい海苔を作ること。対抗して下ものを作っても仕方がない。向こうは国絡みで体制を整えており価格では勝てない。一次加工場の機械は日本の倍くらいの能力があり、機械1台で1シーズン1億枚を漉いてしまう。

–日本も協業、共同乾燥など合理化は進んでいますか。

白羽 進んでいるが、なかなかうまくいかない。乾燥は個人での投資が難しく、ほぼ共同乾燥となっているが、年間で2千万枚の規模では韓国とは比較にならない。生産現場も縦割り組織を見直していかないと合理化が進まない