農水省は食品輸出額を25年までに2兆円、30年までに5兆円という目標を掲げている。昨年4月から「農林水産物・食品輸出本部」を設置、政府が一体となって事業者の支援を行っている。国の食品輸出支援は充実してきているが、実務的な視点が抜け落ち、支援が手薄な分野も存在する。それをオンラインで提供できないか食品新聞社に相談したところ、Eラーニング「食品輸出実務と実践塾」を開講する運びになった。
初級コースは合計で3~4時間ほどの4講義で構成しており、経営層だけでなく品質管理担当、商品開発担当、海外営業担当の方の参加を想定している。講座の内容は食品新聞社の専用サイトで確認をお願いしたい。
連載の最後に食品メーカーの方へメッセージを送らせていただく。
経営者の方へ:食品輸出成功のカギは商品開発である。売先は国の支援でいくらでも紹介してもらえる。世界に広く販売出来る商品開発は、海外営業担当の仕事ではなく、品質管理担当と商品開発担当の方の仕事である。会社が総力を挙げて輸出用・世界展開用の商品開発を進めないと、満足できる結果は得られない。新型コロナで減ったコストは、グローバル商品開発のためにぜひかけて欲しい。
海外営業担当の方へ:海外に広く販売できない商品の「押し売り」営業から舵を切り替えないと、いつまでも空しい営業活動が続く。
商品開発を品質管理担当や商品開発担当と連携して世界に広く販売できる商品を開発していただきたい。
商品開発担当の方へ:世界に広く売る商品を開発するには、食品添加物の制限、販売期限の海外対応が必要になる。国内向け商品の取り組みとは逆行するかもしれない。だが、海外の消費者に御社の美味しい商品を広く販売できるようグローバルな商品開発を進めて欲しい。
品質管理担当の方へ:食品安全がメーンで品質管理の仕事をしていない方にとって、食品添加物の海外対応や販売期限の海外対応は未知の取り組みとなるかもしれない。仕入先は情報をまったく開示しないかもしれない。しかし、そこを越えないと世界展開には進めない。海外商品開発の成功は、開発を支援する品質管理担当者の力量次第だ。世界展開を進める食品メーカーの皆さまに、基本的な知識を提供するためのEラーニングを準備した。担当者3人を教育し、3年はかかる食品輸出の実務と実践を低コストかつ迅速に具現化することが可能だ。ぜひご検討いただきたい。
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