拡大する植物性飲料の中でオーツミルクが急成長している。
メーカーが世界的潮流を捉えて相次いで参入したことが急成長の一因。世界では多様な原料の植物性飲料が増加し、中でもオーツミルクは製品数でアーモンドミルクと肩を並べる断トツの多さとなっている。
オーツ麦を酵素処理で糖化させた自然の甘さや豊富な食物繊維が支持を集めている主なポイント。オーツ麦の栽培が大豆やアーモンドに比べて地球環境にやさしいという報告もあり、今後は環境面でも注目を集めそうだ。
市場を切り開いたのはダノンジャパンの「ALPRO(アルプロ)」。
トレンドに敏感なアーリーアダプターと呼ばれる層にフォーカスして20年春に関東1都6県で「ALPRO たっぷり食物繊維 オーツミルク ほんのり甘い」と「同 砂糖不使用」の2品を発売開始し10月には販路を全国に拡大した。
![ダノンジャパンの「ALPRO たっぷり食物繊維 オーツミルク]](https://shokuhin.net/wp-content/uploads/2021/10/24-1-300x218.png)
この販路拡大から一巡していないこともあり「直近ではオーツミルクセグメントは1ー7月累計で前年同期比13倍に跳ね上がった」(ダノンジャパンマーケティング部マーケティングマネジャーの福田マルシオ氏)。
関東と中部の売場でこの「アルプロ」に猛追するのが、今年3月から同売場で発売しているコカ・コーラシステムのオーツミルク「GO:GOOD おいしいオーツ麦ミルク」。
コカ・コーラが植物性飲料参入にあたり市場規模の大きい豆乳やアーモンドミルクも検討してオーツ麦ミルクに決定したその一番の決め手は味わいにあったという。
![コカ・コーラシステムの「GO:GOOD おいしいオーツ麦ミルク]](https://shokuhin.net/wp-content/uploads/2021/10/25v-266x300.png)
日本コカ・コーラの高木正子マーケティング本部ニュートリションカテゴリーシニアマネジャーは「物凄くおいしいというのが一番の理由。牛乳に近いクリーミーさを持ち合わせ、植物性飲料特有のたんぱく質が口の中にねっとり残る感じもなく、とても飲みやすい」と語る。
砂糖を加えずに感じられる穀物由来の甘さもオーツミルクの特長。
「おいしいオーツ麦ミルク」では、原料のオーツ麦を酵素処理で糖化させて自然の甘さを引き出し、製造面ではコカ・コーラグローバルで培われたノウハウと知見を活用した。
「酵素処理は各社で異なる。オーツ麦各品種との相性もあり、素材と酵素処理の組み合わせで味わいが全く異なってしまう。コカ・コーラは様々な国でテストしており、そのナレッジを活かしておいしさを実現した」と説明する。
オーツミルク全般でみられる動きとしても、健康のために味わいを若干我慢して飲むという飲まれ方ではなく「おいしいから飲む」がメインとなっていると指摘する。「英国・米国・アジアで調査した結果、『おいしいから飲む』の声が6割を超えた」(日本コカ・コーラの高木氏)という。

このような味覚への高評価からオーツミルクは植物性飲料の中でも有望株となっている。
「世界的に18年から20年までの新製品導入数をみてもオーツミルクが断トツで、規模はまだ小さいものの他のカテゴリーと比べても伸び率が高く伸び放題の市場」(同)との見方を示す。
今年3月にはマルサンアイとネスレ日本も参入。
マルサンアイは“北欧育ちのオーツ麦”を謳った「オーツミルク200㎖」を新発売しSNSなどを活用してアピールしている。
ネスレ日本は、健康志向と環境配慮への意識の高まりに対応した「ネスカフェ」“プラントベースラテ”を発売開始し、そのラインアップの1つとして「ネスカフェ ゴールドブレンド オーツラテ」をスティックミックス・液体飲料・「ネスカフェ ドルチェ グスト」専用カプセルの3カテゴリーで展開している。
直近ではカゴメが9月21日に「野菜生活 Oats+(オーツプラス) オーツミルクMix」を1都10県で発売開始した。
同商品は、植物性ミルクの一つであるオーツミルクに野菜と果実をブレンドした「野菜生活100」ブランドの新シリーズ。皮まで使った全粒オーツ麦の香ばしさや、野菜と果実によるやさしい甘さを特徴とし「飲み続けやすい味わいに仕上げた」(カゴメ)という。
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