食品輸出実務と実践塾 Eラーニング開始に向けて④ 品質管理に取り組まないのは誰のせい グローバルセールス 山崎次郎

日本の加工食品が海外の人に認識されても、輸出できない背景は「販売期限の海外対応」「食品添加物の海外対応ができていない」という2点だと連載冒頭でお伝えした。

その対策が進まない理由は、品質管理をする実務担当者がいないからだ。品質管理と書かれた名刺を持つ方は大勢いるが、担当する業務は食品安全業務が主。品質管理に関して、きちんと教育を受けて専門性を持った方は少ない。

品質管理を一言で定義すると「程よく一定にする取り組み」。品質管理検定4級の教科書の最初に書かれているが、品質管理の肩書があってもこの定義を知らない方は多い。

品質管理は、食品安全の取り組みとは異なる。メーカーの食品安全担当者には、品質管理の知識や知見もなくクレーム対応を兼務している方が多く、改善のプロという、本来の意味での品質管理担当者が存在しない。だから改善はなかなか進まないし、クレームも削減できない。

そう感じるのは、品質管理と食品安全それぞれの専門家が日常使いする言葉がまったく異なるからだ。食品安全の専門家は、「HACCP・食中毒・リスク・ハザード・異物混入」。一方、品質管理の専門家は「ばらつき・工程・4M・母集団・Σ・検査・改善」などの語句が会話の端々に出てくる。

食品安全と品質管理を両方の専門性を有する人が本来、品質管理担当者であるべきだ。それができないならば、食品安全の担当者、品質管理の担当者と分けて記載したほうがよい。

ただし、根本的な原因は経営側にもあって、「食品安全」「品質管理」「クレーム対応」「コンプライアンス対応」など品質保証の仕組みを深く理解されていない方も少なくない。加工食品の輸出が進まない根本の問題は、そのための品質管理担当者の配置や教育も育成が遅れているからだ。

品質保証の基本的な4つの機能は

①品質管理担当(品質改善・クレーム改善・生産性改善など)
②食品安全担当(食中毒対策・衛生管理・HACCP対応など)
③お客様サービス担当(クレーム対応・クレーム管理・商品事故対応・リコール対応など)
④表示コンプライアンス担当(表示/優良誤認対応・保健所/行政対応など)

しかし多くの企業で①が抜けているのである。

最もポピュラーな品質管理の資格は「JIS品質管理責任者」。これに準ずる資格が「品質管理検定3級」。品質管理担当者を育成するには、こういう専門知識を教育し実務で育成しないと改善が進まない。

品質管理担当者が優秀であれば、生産性が大きく改善する。まったく取り組んでいない食品メーカーだと生産性が一気に改善できる。中小食品メーカーでも業績や生産性の良い企業には強い品質管理チームが存在している。

食品輸出を成功させるには販売期限や食品添加剤の海外対応が必要だが、これは品質管理担当者の仕事となる。海外営業が孤軍奮闘してもダメだ。品質管理担当者の取り組みや育成によって広く世界に売れる商品が誕生する。

したがって、「食品輸出と実践塾・Eラーニング」は、経営層だけでなく、そんな品質管理担当者・食品安全担当者・海外営業担当者を対象としている。