フジ 経営統合の背景と店舗・商品施策 強い店頭作りの土台とは 山口普社長に聞く

中国四国エリアに101店舗を展開するフジ(本社・松山市)。今期から新たな中期経営計画をスタートさせた。9月1日にはマックスバリュ西日本(以下、MV西日本)との経営統合を発表。18日にはリニューアルしたイオンタウンのSC(四国中央市)に初めてSMを出店した。アフターコロナに小売間の優勝劣敗がより鮮明になると予測される中国四国エリアにおいて、「残れるだけの強いバックグラウンドを整備しなければならない」と統合の背景を語る山口普社長に単独インタビューを行い、縮小市場における店舗戦略、統合後の商品施策などを聞いた。

――まず、昨今の消費動向をどのように見られていますか。

山口 当社の業績で言えば、食品は前年比102~3%と堅調に推移している。客数は100%を超え、客単価も101%強となっている。

コロナ禍で外食に出かけたり外で集まったりする機会が減り、それが常態化してきた。一方で今年はバレンタインやホワイトデーに関する売上が好調で、最近ではハロウィンの出だしが良い。こうしたハレの日を家庭で楽しもうという意識が、かなり高まっているのを感じる。

――今期は中計初年度です。「新しい時代への挑戦~成長し続けるための基盤づくり」というテーマを掲げられていますが、その狙いについて。

山口 今はコロナ禍で食品は多少持ち上げられているが、いずれ終息する。そうなれば環境は従前よりも厳しく、中国四国地方においても優勝劣敗がはっきりするだろう。そういう時代にしっかり残れるだけの強い店頭やバックグラウンドを整備しなければならない。その土台となるのが今回の経営統合だ。

フジ単体で言えば、この中計の前からデジタル投資やPCセンター、物流センターの整備に取り組んでいる。中計3年間でしっかりめどをつけ、基盤づくりを実現するという思いを込めている。

――松山と広島を重点エリアと位置付ける出店戦略について教えてください。

山口 基本的な考え方として、中国・四国においては、従来と同じように新店を出して採算が取れるエリアというのは狭まってきている。つまり、店を出したそのタイミングが人口のピークで、そこから先はシュリンクしていかざるを得ないエリアが増えている。

その中で広島と松山はこれから人口がどんどん増えるというわけではないが、一定のボリュームがあり、マーケットとして十分に成り立つという意味で重点エリアに設定している。それ以外の地域での出店についてはケースバイケースで考える。

投資に関しては、むしろ既存店の優先順位が高い。現在、一定のマーケットシェアを獲得できているところでもあるし、投資をしてリターンが計算できる。商品の入れ替えや買い物環境の維持に主眼を置いた既存店投資を計画的に行い、店舗年齢を若く保ち快適性を常に維持できる努力をしていきたい。

――今回、イオンタウンの核店舗として「フジ四国中央店」を出店しました。その際の会見で、山口社長はNSC業態の可能性について言及されていました。

イオンタウン内に出店したフジ四国中央店
イオンタウン内に出店したフジ四国中央店

山口 特に地方都市において、NSCという業態のポテンシャルを改めて感じている。1か所でいろいろな買い物ができ、さらに、町の中に点在している行政サービスなども集約できればより利便性が高まる。そういう意味でもポテンシャルは高く、今後、行政などと協力していきたい。

――既存の大型店についてはどのように。

山口 一時、GMSという業態はもう役割を終えたと言われることもあったが、私はそうは思っていない。地域の中でお客様の生活を支えるインフラの一つとして残っていけるし、残していかなくてはならない。

新設は難しいかもしれないが、今ある店はお客様に来ていただき、利用していただいている。特に商店街がなくなり買場が減っている地域では、GMSが本当に必要とされており、決して消えることはない。われわれの役割として再度チャレンジし、中身を磨いていきたい。

――一方で移動スーパー「おまかせくん」をはじめとする、ノンストアリテイル事業のエリアも拡大しています。採算面を含め今後の課題は。

山口 大きな利益が上がっているわけではないが、横に展開を広げていくだけの採算ベースには乗っている。現在は点から線、線から面へとかなりのスピードをもって面の拡大に力を入れており、面を広げた次にはその密度と効率を高める。2ルートだけだったところに3番目のルートを検討することを、既存エリアではすでに始めている。とにかく早く広げていく。規模を追求するだけではないが、四国において断トツの一番になりたいと思っている。

――MV西日本も移動スーパーを展開していますが、すみ分けできますか。

移動スーパー「おまかせくん」(フジ)
移動スーパー「おまかせくん」(フジ)

山口 現状では重なっておらず、MVは車も大型で少しやり方が異なる。互いのノウハウのいいとこ取りをしながら広げていきたい。車での販売というのは店舗のように商圏で顧客を取るのではなく、そこに行って売るというものなので、ルートを工夫すれば重なることはない。

――MV西日本との経営統合では、PBを含めた商品戦略の行方が気になります。

山口 イオングループということになると「PBをどうするのか」という質問をよく受ける。現在の「スタイルワン」は3社の協業でその一角に加わらせてもらっている。お互いの事情をきちんと踏まえスピードをもって検討していく。

今後、本筋になるのは地元の商品だと思っている。お客様にとって昔から慣れ親しんだ味、地元の信頼おけるメーカーの商品を食べたり使ったりすることへの安心感。こうした商品の開発はまだまだ十分でなく、これをMV西日本と連携し強化していきたい。

統合によりずいぶん大きな規模になるので、産地やメーカーと話をする時、これだけのロットでということになれば、お互いより積極的にできることも多いのではないだろうか。限られた地域だけでなく中四国全体への展開を視野に、お客様にいいねと言ってもらえるようなチャレンジをどんどんしていきたいし、それがわれわれの武器になり得ると思っている。