食品輸出実務と実践塾① Eラーニング開始に向けて グローバルセールス 山崎次郎

新型コロナ禍に入る前に連載したが、前回説明できなかったことに加え、新型コロナ後を踏まえた内容を今回お伝えしたい。世界に売るための品質管理や商品開発に、より特化した内容となる。第1回目の今回は「東京五輪でわかった日本の加工食の美味しさと世界展開が容易でない背景」。

また「食品輸出実務と実践塾」を来月からEラーニングという形で開催するので、そのご案内もさせていただく。

東京五輪では日本のコンビニのお菓子や食品が非常においしいと海外のマスコミの方を中心に話題となった。大人気と言ってもいい。日本の加工食品は世界の人から非常においしいと評価を受けた。

国は2030年5兆円の食品輸出目標を掲げ、輸出拡大の支援を充実させている。しかし加工食品の輸出実績は、農水省の発表数値を見ると全く芳しくない。伸びているのは農産物や畜産物を中心とした生鮮食品に過ぎない。

東京五輪の件の記事を読んだ方は「何故そのまま輸出しないのか」と疑問を感じていることであろう。そこに切り込んでいくのが今回の連載である。

前回は「誰に」「何を」「どうやって」という3つの基本をテーマに連載した。事業の多角化は、3つのうち1つを変更し新たな領域に入っていくとシナジー効果が生じて成功しやすいと言われる。

しかし、食品輸出は既存工場の稼働率向上という大きなメリットはあるものの、3つの要因がすべて変わってしまう。誰に売るかは、「国内の既存取引先」から「海外の食品輸入ディストリビューターと国内の食品輸出商社」となる。何を売るかは、「既存の加工食品」から「海外対応した加工食品」となる。どうやって売るかは、「日本語での既存営業方法」とは異なる「英語資料での新たな営業」となる。

3つの要因がすべて変わるから食品輸出は難しいのだが、そこを理解していない経営者が多い。

既存品の営業から輸出スタートするリスクを検証せず、やみくもに営業から開始して致命的な間違いを犯し、海外営業担当者を孤立させ、そもそもその国では輸入もできない商品を押し売り営業させるところから食品輸出事業をスタートしてしまう。

国内の店頭で販売している加工食品の多くは、そのまま輸出しようとしても香港、シンガポール、マレーシアのような例外的なルールがある国や地域に輸出するか、本来は輸出できない商品をイレギュラーなスタイルで輸入する販売先に供給するしかない。

世界の方々に高い評価をいただいても、その加工食品をそのまま輸出できないのはなぜか。大きな理由が2つある。「販売期限の海外対応」「食品添加物の海外対応」ができていないからだ。この2つを前回よりもさらに掘り下げていくのが今回の連載の骨子だ。

これは私見だが、食品を海外輸出する現場では過度なパワハラが蔓延している。輸出できない食品添加物を使っているのに海外営業担当者に売らせようとする経営幹部は少なくない。自社商品で使用している食品添加物のINS番号を知らないし管理もしないが、違法性を隠して海外営業担当者に販売拡張を強制する。

厳しい環境にある海外営業マン、グローバル商品開発の知識も知見もない商品開発担当者、海外の食品添加物の管理方法を全く知らない品質管理担当者、食品輸出を担当する経営幹部の方々向けに今回は連載し、Eラーニングのご案内もさせていただきたい。

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