多様性と創造性 2つの「ヱビス」提案 リアルとデジタルで訴求

サッポロビールのビールブランド「ヱビスビール」は、今年から二つの商品群で戦略を組み立てている。また、リアルとデジタルを融合させたコミュニケーションを強化し、生活スタイルの変化に即した活動を展開する。背景にあるのは、缶ビールへの追い風と、「ヱビス」などのプレミアムビールへのニーズの高まりだ。

狭義のビール市場では、昨年10月のビール減税により特に缶製品には巣ごもり需要もあり追い風が吹いている。23年、26年にも段階的にビール減税が実施される予定で、ビール、特に缶には好影響があるとみられている。サッポロが予測する26年のビール類市場は19年比79.7%、21年比91.2%とみるものの、ビール缶は19年比107.9%、21年比102.7%。ビール強化を進める同社の強みが発揮できる場面になる。

また、直近では家庭内飲酒時間が増えたことから酒類の多様性に対する期待などが高まり、プレミアムビールも選択肢の一つとなるといい、「ヱビス」の強みを発揮できるとみる。

今年の「ヱビス」はブランドコンセプトに「Color Your Time! ビールの楽しさ、もっと多彩に。」を掲げ活動。上期の「ヱビスビール」本体の缶製品は前年同期比103.7%、「同」ブランド缶は104.6%と好調だ。これまではビジネス関心層中心の消費だったが、ライフスタイル関心層が大幅に増加し、「ヱビスがイメージするお客様が着実に増えつつある」(武内亮人マーケティング本部ビール&RTD事業部長)と話す。

「ヱビス ホップテロワール」(サッポロビール)
「ヱビス ホップテロワール」(サッポロビール)

商品群は2系統に分けて展開。多様性を象徴する「スタイルライン」は、ビアスタイルをベースにシーンや季節に合った味わいを実現する商品群。創造性を象徴する「ディスカバリーライン」は、慣習にとらわれず高付加価値、物語性などで新しい価値を提案していくものだ。

ディスカバリーラインからは、11月24日に数量限定で「ヱビス ホップテロワール」を投入。独バイエルン州で1千年続く畑で栽培されたホップ「ハラタウトラディション」を100%使い、三分割添加した。協働契約栽培で産地と契約者を明確にするなどした安全・安心に加え、気候風土や歴史、こだわりなどの物語性を兼ね備えた価値提案ができると意気込む。缶体のロゴをスマホで読み取り、ARカメラを起動させると、豆知識や生産者インタビューが楽しめる仕掛けも施した。

また、生活変化を踏まえてデジタルのコミュニケーションを強化。リアルとデジタルの融合を図り、消費者と直接つながるコミュニティーの立ち上げや、「ヱビス」を提供する外食店をデジタルで紹介するなどの取り組みも検討する。下期はリアル・デジタルを融合させたブランド体験を提案。10月7日にはオンラインでヱビスビール記念館ツアーを実施する。