カゴメ 拡大する通販事業(中) 「農園応援」産地の困りごと解決 生産者と消費者の橋渡し

カゴメの通販「健康直送便」には、地方に眠る特色ある果実や野菜を届ける「農園応援」という取り組みがある。全国の生産者を訪ね、農産物を目利きし、青果や加工品を「いつ・だれが・どこで・どのように」という物語とともに顧客に提供。これを契機に顧客には、「生産者を応援したい」という意識が高まってきた。マーケティング本部通販事業部商品企画グループの恵良正和課長に聞いた。

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(最近のトピックスについて) 現在、「農園応援」で取引している地域は9地域。最近のトピックスは、「ゴールド ラ・フランス」がコロナ前に比べて3倍ほど出荷が増えたことだ。コロナ禍で首都圏百貨店のお客様は大分減ったが、当社では「農園応援」を通して生産者との信頼関係が生まれ、店頭ではなかなか売れない高級フルーツも、かなり量を仕入れることができ、生産者の支援につながっている。

お客様の声として、「生産者を応援したい」という割合が昨年は36%だったが、今年は44%まで拡大した。コロナ以降は買うことが生産者応援につながるという意識が高まってきた。通販利用者のお手紙からも、「今年はコロナ禍でますます大変だと思います。お体に気を付けてください」などの声が寄せられ、生産者を助けたい気持ちが表れている。

産地と生活者のコミュニケーションづくりの一環として、19年まで産地ツアーを行ってきたが、コロナで一切できなくなった。そこで産地と生活者を結び、オンラインで両者が語る場を設けた。その結果、お客様から「実際に産地に行きたくなった」「コロナが収束したら産地を訪問したい」という温かい言葉をいただき、新たなコミュニケーションが生まれた。

(「農園応援」の基本的な考え方について) 「農園応援」は単なる産直販売ではなく、産地生産者の困りごとを解決することを事業の肝にしている。福島の桃は今でも風評被害が多く、東日本大震災以降は百貨店の扱いも減った。そこで当社の通販を通してサポートし、産直商品もオンライン会員に定期的に販売している。

紅大豆ツアー(カゴメ)
紅大豆ツアー(カゴメ)

山形県・川西町では「希少な紅大豆を絶やしたくない」「豆で町を元気づけたい」との思いから町役場・大学・地域の女性・紅大豆生産研究会などが連携し「豆のあるまち かわにし」プロジェクトを推進。そこで「農園応援」では紅大豆を使った商品化や販路拡大、消費拡大でサポート。交流ツアーも行い、生産者のモチベーションのアップにつながった。

また、障がい者の自立支援として、トマトの収穫などに携わることで活躍の場を提供。りんご生産者の中には地域特有のブランドに育てたい思いがあり、カゴメの販路を使って認知を広げてもらった。店頭では品切れはNGだが、通販は産地に負担のない数量に限られ、産地としてもスポット案件ではなく、継続的に売ってもらえることから、信頼感につながっている。いずれにしても「農園応援」は、産地生産者の困りごとを解決するため、さまざまな支援活動を行っている。

(コミュニケーション活動について) 「農園応援」は生産者と消費者との橋渡し役を担っており、定期的にコミュニケーション活動を行っている。地域生産者と消費者をつなぐことが一つの役割で、最近ではオンラインでも展開。定期的に行っているオンラインの料理講習会は、参加者の満足度が非常に高く、生産者にとっては消費者の声がダイレクトに聞けることから、大きな刺激になっているようだ。