新型コロナウイルス感染症拡大により通販(EC)マーケットが急拡大し、外出自粛によるテレワークの浸透で加速している。日本通信販売協会調べの2020年度通販売上高は前年度比20.1%増の10兆6千300億円と初の10兆円を突破。アマゾンや楽天などモール系が多くを占めているが、企業が独自に展開する「自社通販」の増加が著しい。
食品は、健康食品やサプリメントが多いが、瓶・缶詰、飲料、酒類、レトルト食品、お取り寄せ食品、農水産品、菓子、デザートなど多様化。食品NB企業も専用商品を開発するなど、取り組みを強化している。NB各社はコロナ前から通販によるダイレクト販売に注目してきたが、販売単価が低いことから一部を除いて本格的な展開は見送られてきた。特にモール系は一般流通との棲み分けや販促経費の壁などが大きく、積極展開には至らなかった。
しかし、コロナをきっかけに消費スタイルが多様化し、食品の在宅需要が高まる中で再認識され、見直し機運が高まっている。スマホの高普及も需要を押し上げた。組織改編やブランド開設、物流再編、自社ECプラットフォームの立ち上げなど投資に踏み切る動きもある。
顧客層は50~70代がボリュームゾーンであり、店頭で販売していない、店では買えない専用商品が開発され、NB食品の中でも付加価値を重視したこだわり商品が脚光を浴びている。参入各社は、顧客の囲い込みやファンづくり、コミュニケーション・リレーションづくりに知恵を働かせている。
年齢や生活スタイルに合わせて広告媒体も多様化しており、外出自粛により在宅率が高まるにつれてテレビのインフォマーシャルや新聞、会報誌、メルマガなどの獲得効率をあげている。シニア世代もLINEやYouTube、TwitterなどSNS媒体を利用するようになり、参入企業もSNSを活用した宣伝活動を重視。若年層の広がりも目立ってきた。コロナにより会員による体験イベントをオンラインで実施するケースもあり、メーカーは生産者と顧客をつなぐ役割を担っている。
通販ユーザーの新たな傾向として、社会貢献や環境、エシカル、SDGs、フードロス、サステナブルなどへの関心が高まっていることが特徴的。通販を通して農産物の生産者と消費者を結び、生産者を応援したいなど高い意識を持った顧客も増えている。SDGsに貢献する商品・企業や、地方創生の観点から買って、食べて生産者を応援する形も増えてきた。
通販食品展示商談会 9月30日~10月1日開催
通販・宅配食品に特化した日本で唯一の展示会「通販食品展示商談会」が9月30日(木)から10月1日(金)までの2日間、東京・千代田区有楽町の東京交通会館12階で開催される。今回で第11回目。日本全国の自慢の商品が一堂に集結。今回は前回を大きく上回る約130社が参加し、初の満小間での開催となる。
全国のこだわりのご当地食品や通年ギフト、贅沢・プチ贅沢食品など通販業界に適した商品約550アイテムが勢ぞろいし、通販バイヤーなど関係業界にアピール。今回は初めて展示会に出展する企業、初めて紹介する商品が多いことが同展示会の魅力となっている。開催に当たっては、新型コロナウイルス感染症に備え、東京都、東京交通会館の指導にのっとり、万全な感染症対策を実施して開かれる。
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