トマト調味料 特需の反動で軌道修正迫られる 付加価値品やWEB発信を強化

トマト調味料は、昨年のコロナ特需の反動に直面し、軌道修正を迫られている。昨年は、巣ごもりに伴う内食機会の増加により記録的な販売量を達成。しかもこれまで定番だったオムライスやナポリタン以外のメニューにも使われ、トータル需要を押し上げた。テレワークの浸透により男性にも「失敗しない調味料」として普及。その結果、食卓でのトマトケチャップの出現回数が増加し、これまで定番だったオムライスやナポリタン以外のメニューにも使われたことで底上げにつながった。

これをきっかけに、ネット検索により消費者自らがオリジナルメニューを創出する動きも出ており、業界ではコロナによる新たな傾向として歓迎。これにホールカットトマトやトマトソース、ピザソース、調理ソースなど周辺商品も加われば、市場活性化は間違いないとしている。

今期の商戦は、今のところコロナ特需の反動減に遭っているが、業界には暗さはあまりない。訴求方法でも、従来のメニュー提案だけでなく、あらゆる施策を実施。

カゴメでは公式LINE発信やYouTube動画広告、クックパッド広告などのツールを活用し、幅広い洋食・トマトメニューを情報発信することで手応えをつかんでいる。

キッコーマン食品は、これまでコロナで店頭販促ができなかったため、今年はクリスマスやハローウイン、ボジョレーヌーボなど洋食催事イベントを通じてWEB施策を中心に「リコピンリッチ」を対象としたメニューアプローチを展開。ユーチューバーやたいめいけん、料理研究家の志麻さんとのタイアップ企画など、厚みのある販促により需要活性化を図ろうとしている。

秋冬に向けた製品戦略は、付加価値型商品や周辺商品の訴求が中心になりそうだ。カゴメは「濃厚リコピントマトケチャップ」や「有機トマト使用トマトケチャップ」「レンジで簡単トマトソース」など付加価値型商品を強化。一方でレトルトの「じょうずに野菜トマト煮メニュー」として「たっぷり野菜のミネストローネ用ソース」や「基本のラタトゥユ用ソース」「豚肉ときのこのトマト炒め煮用ソース」などをリニューアルして周辺商品を固めた。

キッコーマン食品は、既存の付加価値型の「デルモンテ リコピンリッチ トマトケチャップ」の強化が最大テーマで、「食塩無添加」を新発売し、「ベジタブルリッチ」もリニューアル。リコピンリッチのトマトピューレやトマト鍋スープ、トマトソース、ピザソースなどの品揃えできめ細かな対応を図っていく。

コーミは「有機栽培トマト100%使用トマトケチャップ」や「贅沢リコピン食塩無添加ケチャップ」を揃える。

ハグルマは「特級トマトケチャップ」や「糖類不使用ケチャップ」「有機栽培トマト使用食塩不使用ケチャップ」など差別化商品を展開。

長野トマトは「ケチャップハーフ」「プロも認めた味わいトマトケチャップ」「世界の畑のトマトケチャップ」「国産つぶ野菜入り信州生まれのケチャップ」「つぶつぶ野菜入りケチャップ」など豊富な品揃えで対応。

ハインツ日本は「ガーリックケチャップ」「シラチャーケチャップ」を新発売した。