公取委 下請取引の監視強化 取引公正化へアクションプラン公表

最低賃金引き上げ、原材料費上昇…中小事業者へのしわ寄せ防げ

公正取引委員会は8日、最低賃金引き上げなどに伴う不当なしわ寄せ防止に向けた「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を公表した。最低賃金の引き上げや原材料価格などの上昇に伴う、買いたたきや減額、支払遅延など、中小事業者への不当なしわ寄せが生じることがないよう対策を強化する。

8月に「中堅企業・中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議」における「中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」で、最低賃金の改定を含む労務費や原材料費などの上昇が下請価格に適切に反映されることを促すべく、9月の「価格交渉促進月間」の実施に当たって、関係省庁が連携して取り組むことを確認した。

これを受け、公取委では最低賃金の引き上げなどに伴い、買いたたき、減額、支払遅延など、中小事業者への不当なしわ寄せが生じないよう、下請取引の適正化の取り組みを一層するべくアクションプランを策定した。9月の価格交渉促進月間を皮切りに、11月の下請取引適正化推進月間に向けて関係省庁とも連携し、対策を強化する。

アクションプランは

①下請法等の執行強化
②相談対応の強化
③不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動の拡充・強化

――を3つの柱とする。

①は、今年度の下請事業者向けの定期調査で最低賃金の引き上げなどに伴い、特に問題となることが想定される「買いたたき」の指導実績が多い業種やコロナ禍で特に影響が出ている業種向けの調査拡大、最低賃金の引き上げを含む労務費や原材料価格の上昇の影響に関する質問を追加し、下請法違反被疑事実に係る情報収集の取り組みを強化する。

また、荷主と物流事業者との取引に関する書面調査や、そのほかの優越的地位の濫用規制と下請法に関する実態調査においても、最低賃金の引き上げなどに伴う影響や取引先との価格交渉の状況に関する質問を追加する。さらに、公取委が親事業者に対して違反行為の改善を求める指導などを行う際に交付する注意喚起文書で、最低賃金の引き上げを含む労務費や原材料価格の上昇に関連する注意事項を加え、不当なしわ寄せを行わないよう強く要請する。

②では、「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」を設置するほか、オンラインでの相談会も実施。③では、アクションプランの策定と周知徹底を図るほか、事業者団体との連携拡大を通じて、全国津々浦々に不当なしわ寄せ防止に向けた取り組みの状況が行き渡るよう周知活動を拡充する。

また、下請け法のQ&Aにおいて、最低賃金の引き上げに関する項目を追加。「最低賃金の引上げにより労務費等のコストが大幅に上昇した下請事業者から単価引き上げを求められたにもかかわらず、親事業者が一方的に従来どおりに単価を据え置いて発注することは、買いたたきに該当するおそれがある」(下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準第4の5(2)ウ)と明記した。

公取委が最低賃金の引き上げに伴う対策をまとめるのは初めて。食品業界においても労務費や原材料価格の上昇が深刻化しており、中小事業者の適切な価格への反映は課題となっている。

なお、平成28年から5年間で食品・小売関係における下請法違反の勧告事例は16件。直近3年間は減少傾向にあるが、買いたたきや支払代金の減額などが問題となったケースは少なくない。