Z世代向け「午後の紅茶」誕生 スリランカの農園支援アピールの紙パック キリンビバレッジ

キリングループは13年から、スリランカ紅茶農園を支援し「午後の紅茶」で使う紅茶葉の安定調達に取り組んでいる。スリランカ紅茶農園に、自然と作り手を守りながらより持続可能な農法に取り組むと認められた農園に与えられるレインフォレスト・アライアンス認証(以下、認証)の取得を支援する内容となる。8年間にわたる取り組みの結果、認証取得農園は増加。これに伴い、今回、ある程度まとまった量の認証茶葉が確保できたことから、3日に「午後の紅茶」初の試みとして認証茶葉を90%以上使用した紙パック(LL紙容器)商品「午後の紅茶 ストレートティー」(250㎖)を発売した。

レインフォレスト・アライアンス商標使用方針では、パッケージに認証マークをデザインして認証茶葉使用をうたう場合、認証茶葉を90%以上使用していることが必須と定められている。

今回の認証茶葉を訴求する商品の役割について、キリンホールディングスCSV戦略部の藤原啓一郎氏は「8年間、スリランカ紅茶茶農園で取り組み、かなり蓄積ができ、飲んでいただいている方々にもわれわれの取り組みを知っていただくフェーズに突入した」と語る。

ターゲットは、1990年代後半から2000年代前半に生まれたZ世代を想定する。キリンビバレッジの加藤麻里子マーケティング部ブランド担当部長シニアブランドマネージャーは「お客さまの中でも特に小中高生は、SDGsを学校で学び環境や地球のことを真剣に考えている」との見方を示す。

そのため販路としては学校やレジャー施設に設置される自販機に最も期待する。スーパーには、支援内容を記載したポスターの掲示や常温売場での大陳を提案している。

森林を守ることにつながるFSC認証紙を使った紙パックでの展開は、ボリュームの大きいペットボトルを賄うだけの量の確保が難しかったという側面もある。これにより販売数量は限定的だが、「午後の紅茶」のブランド・パーパス(ブランドの社会的存在意義)「いつでもお客さまに幸せなときめきを届ける」への貢献を狙う。

藤原啓一郎氏㊧(キリンホールディングス)と加藤麻里子氏(キリンビバレッジ)
藤原啓一郎氏㊧(キリンホールディングス)と加藤麻里子氏(キリンビバレッジ)

「普段何気なく飲んでくださっている『午後の紅茶』がスリランカ紅茶農園の支援に役立っていることを知っていただき、少しでも幸せな気持ちになってもらいたい」と期待を寄せる。

主なコミュニケーション施策としては、3日から2週間、アニメーションTVCM「スリランカ紅茶農園支援」を放映したほか、YouTubeで1か月間デジタル広告を展開している。

TVCMは数々の受賞歴を誇る豪州のUnlisted社とHornet社との協働により制作されたもので、一人の少女が家族とともに紅茶づくりを学びながら成長していく姿が、スリランカの風景とともに魅力的に描かれている。

今後は、25年末までに1万の小農園に認証取得支援を行う。キリングループは13年に認証取得支援を開始し、20年までに93の大農園と120の小農園でキリン支援による認証取得を実現した。

現在、日本に輸入されている紅茶葉の約50%はスリランカ産で、そのうち約24%が「午後の紅茶」に使用されている。

13年の調査時点では、紅茶葉のリスクは大きくないと評価されたものの、スリランカで大きな問題があった場合は「午後の紅茶」の製造にリスクが発現する可能性が浮上。原料生産の持続可能性を強化するには、資金不足で持続可能な農業を目指せない農園の支援が効果的だと判断した。

自助の考え方も盛り込み、認証取得のための監査費用は農園側が負担し、取得のための必要なトレーニング費用をキリンが支援している。

多岐にわたる支援の中で、藤原氏は難航したものとして排水処理と土砂崩れへの支援を挙げる。「対応が難しかったのが排水処理。限られた資金で工夫しながら行われた。次に、集中豪雨で17年に発生した土砂崩れがある。現地に行かないと分からないことがたくさんあり、徐々に対応を変化させている」と説明する。

藤原氏は、これまでスリランカへ何度か足を運び国際的な非営利団体であるレインフォレスト・アライアンスとともに現地調査を実施し支援内容を話し合ってきた。

気候変動については「18年の環境報告書で、紅茶に関してはケニア、インド、スリランカの影響が大きいという結果が出ている。スリランカは標高に低いところが影響を受けるという結果が出ており、われわれが購入している標高の高いところの茶葉は気候変動と水のリスクはかなり限定的」との見方を示す。

認証取得支援以外では07年にスリランカの小学校に「キリンライブラリー」を設置。活動は各校に本棚1台、図書を100冊程度寄贈。図書は各学校の希望に耳を傾け、物語、図鑑、地図などの現地書籍を選定。支援箇所は200校を突破し、今後も増やしていく。