「前向きに」

心折れる事象に遭遇するとき、近頃は「前向きに」と呟き、自らを励ましている。米ドラマ「アリーマイラブ」の準主役がしばしば口にしていたセリフだ。作中では「By gones」だが、国内放送の際「前向きに」と翻訳された。件の準主役は弁護士事務所経営者。どんな事態も「前向きに」切り抜けるのが魅力だ。一昔前の作品なのに、昨春突然思い出し借用するようになった。

▼「おもてなし」を約し誘致した東京五輪が閉会し、再来週からパラリンピックが始まる。「震災復興の象徴」「コロナに打ち勝った証」にならなかったのは残念だが、選手の活躍には心を動かされた。

▼「前向きに」考えると、コロナ禍だからこその気づきは多い。スポーツ、音楽、舞台、あらゆる芸術は人の心の琴線を震わす。集えないからこそ分かる。

▼事業や仕事もそうだが、人が「前向きに」頑張る姿はいつも美しい。一方、SNSには頑張る人を匿名で誹ることができ、煽りによって世論を変える力があることもよく分かった。コロナ禍を通じて得た気づきを「前向きに」対処しなければならない。