手延べそうめんにも近代化の波

そうめんは7月の「海の日」頃に最盛期を迎える。常温保存ができて調理が簡単、食欲のない夏にも胃に優しく重宝されるが、近年手延べそうめんの供給量不足が深刻になっている。

▼播州、島原、三輪はじめ全国の産地で漸減傾向にある。播州産メガブランドの「揖保乃糸」でさえも、この10年間で1割近く減少した。伝統的な職人技で作られるが、高齢化や後継ぎ問題に加えて、HACCP対応のための設備投資が負担になり、廃業に拍車をかけている。

▼働き方改革も生産者減の要因の一つだ。製麺には、生地をこねて細く延ばし、乾燥させる製麺作業に2日間を要する。月~金曜日の稼働日のうち実質的には4日間しか麺は作れない。働き手は地域のパートに頼るが、最低賃金の高騰で扶養上限に達しやすく、労働時間は年々短くなる。秋冬の生産最盛期に量を作りたくても人手不足で生産ができない。

▼国が小規模生産者にも労務や環境衛生の整備を求めた結果、伝統産業の根底を揺るがしている。近代化が必ずしも産業を未来につなげるとは限らない。近い将来、手延べそうめんは簡単には口にすることのできない希少な食品になるかもしれない。