チーズ需要高止まり オリ・パラ無観客開催で家庭内での消費増に期待

2020年度の家庭用チーズ市場は巣ごもり消費、家庭内調理機会の増加などを受け、ナチュラルチーズ、プロセスチーズとも伸長し、前年比二ケタ増で着地した。家庭用チーズ市場はここ数年、家飲みや内食志向による底堅い需要に支えられ順調な成長を遂げてきたが、コロナ禍のなか、チーズの持つ多面的な価値や用途が再評価されたことが消費をさらに一段押し上げた形だ。前期特需の反動を受け今年4月、5月は前年割れとなったが、新型コロナデルタ株の感染拡大を受け首都圏1都3県で東京オリンピック・パラリンピックの無観客開催が決定。家庭内でのテレビ観戦需要も見込める状況となってきた。

チーズ消費はここ数年、右肩上がりの成長を続けてきた。2020年度も家計調査をはじめとする各種データやメーカーへの取材などから推測する限り、順調だったものと見られる。実際、2020年度のチーズ市場(調査会社調べ)は前年比110%前後で着地した。種別では特にナチュラルチーズは、カマンベール、クリーム、粉が二ケタ増、シュレッドが約2割増など。このほか、メーカー動向から「さける」タイプのチーズ、モッツァレラなども大幅増となった。

注目されるのは、料理用途がメーンのシュレッドやチーズケーキ作りなどで使用されるクリームチーズ、調味料的に使われる粉チーズなどが伸長している点。「巣ごもり」という環境下、家庭内での調理機会拡大で調理用途チーズへの需要が増加した結果、家庭用の裾野が広がった。

国内チーズ市場はこれまでスライス、6P、ベビーなどプロセスチーズの需要が大きい一方、近年、需要が急増しているとはいえ、ナチュラルチーズはいまだ喫食や購入経験率が低いという課題を抱えていたが、昨年来のコロナ禍がこうした課題解決のきっかけとなった形だ。

このため、メーカーでは今期、「昨年調理トライアルした方々に対し、トライアルの継続と定着を促進すべく、作る楽しさやおいしさに「簡単」や「時短」などをプラスしたメニューのバラエティ提案を強化していく」などとし、SNSなども活用し、それぞれの得意商材で使い方、食べ方提案などユーザーとのタッチポイントを増やしていく考え。

一方、今後の懸念材料となりそうなのがコスト増。輸入原料チーズの価格は上昇基調。さらに物流費や資材なども値上がりしている。「環境は厳しいが、値上げは不可避」(業務用関係者)との認識を示す。現状、家庭用では価格改定の動きは顕在化していないものの、先行きは不透明。加えて、ワクチン接種完了後に訪れるであろうアフターコロナの需要動向も見通せない。その点では、食べ方、使い方を含め、いかにしてチーズを家庭内により浸透・定着させるか。家庭用チーズ市場の今後を占う上でのポイントとなりそうだ。

業務用チーズ売上ランク(2020年4月~2021年3月)