親の意見と茄子の花は

ミニトマトやナスが実をつけ、スイートバジルが葉を茂らせる。わが家のベランダの小さな菜園が賑やかになってきた。長引くコロナ禍で料理やDIYなど「おうち時間」。の充実を図る人が増えたが、家庭菜園もその一つだろう。苗を求めホームセンターを訪れると、その多彩さに驚かされる。そして小さな頃の風景が呼び起こされる。

▼亡父は凝り性で、ひと頃はさまざまな野菜を育てていた。ナス、トマトはもちろん、枝豆やとうもろこし、きゅうり、小松菜、白菜にキャベツ。とうもろこしは自分の背丈よりも高く、収穫を忘れ冬瓜並みに育ったお化けきゅうりはご愛敬。わが家の畑は恵みに満ちていた。夏休みの朝はラジオ体操と水やりの手伝いが日課だった。

▼採れたてはやはり美味しい。食べ物の好き嫌いなく育ったのは、ひとえに父の丹精の賜物。決して裕福ではなかったが、とても贅沢をさせてもらっていたのだなと感謝している。

▼「親の意見と茄子の花は千に一つも仇はない」。繰り返し聞かされた言葉のありがたみを知るのはもう少し先の話。「父の日」を前に想う。