「GREEN DA・KA・RAやさしい麦茶」7年で10倍以上に成長 そのワケは?

飲料市場に打撃の20年も続伸

サントリー食品インターナショナルの「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」が成長し続けている。13年発売初年度に220万ケースだった販売実績が10倍以上に拡大。昨年も、飲料総市場や麦茶飲料市場が新型コロナによる外出自粛と冷夏のWパンチに見舞われマイナスとなる中、前年を超えてシェアアップし、販売数量は2千500万ケース超となった。

取材に応じた高原令奈ジャパン事業本部ブランド開発事業部課長は「これまで伸長し続けてきた麦茶カテゴリーが昨年は一時的にダウンした中、『やさしい麦茶』は最需要期の夏場に限らず、季節を問わずご家庭内で日常的に飲まれたことでプラスになった」と振り返る。

高原令奈課長(サントリー食品インターナショナル)
高原令奈課長(サントリー食品インターナショナル)

今年1-4月についてもプラスで推移した。逆風の中でも力強さを発揮し成長している理由は、「GREEN DA・KA・RA」のブランドコンセプトの一つ、「やさしさの循環」を体現した「やさしい」中味設計にあるという。「昔はやかんなどで煮出した麦茶が主流だったが、近年は時短化が進む中で、より簡便にスッキリ飲みたいということで水出しの麦茶を飲まれるご家庭が増えているととらえている」と説明する。

中でもボリュームゾーンである若年層の嗜好は水出し系のスッキリした味わいにあると判断し、「『香ばしいけれどスイスイ飲める飲み心地のよい麦茶』というご評価ポイントを強調すべく、4月のリニューアル発売時に新たに水色のラベルを採用して『晴れ空ボトル』のネーミングでコミュニケーションしている」という。

加えて「人にも地球にもやさしい麦茶」として、メーン容器の650㎖と600㎖には100%リサイクルペットを採用。化石由来原料の新規使用をゼロにするボトルtoボトル水平リサイクルを分かりやすく伝える「またあえるボトル」第一弾商品の位置付けにもなっている。

容量別では、昨年は外出自粛による家庭内需要の増加により2ℓPETの大容量タイプの伸びが顕著だったが、今年に入ると650㎖と600㎖の伸びが回復し牽引役となっている。

また、19年4月に競合に先駆けて発売した濃縮缶「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」も存在感を高めつつある。

コロナ禍による巣ごもり需要や家庭内消費の高まりで大容量が拡大する中、大容量に比べて小さく軽く持ち運びしやすく、買い物の際にさほどかさばらないものとして、濃縮缶が浸透しつつある。

かさばらず好評の濃縮タイプ(GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ)
かさばらず好評の濃縮タイプ(GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ)

濃縮缶とは、濃縮飲料(コンク)を詰め合わせたもので、1缶を水に注ぐだけで好みの濃さに合わせて1~2Lの麦茶や緑茶などが簡単につくれるのが特徴で、購入後も家庭内で省スペース化が図れるほか、使用後はPETに比べてラベルをはがすといった手間が省け、かさばらずに置いておけるのが価値となっている。

これらの価値に加えて、高原課長が濃縮缶のコアインサイトと指摘するのは「達成感」。「自分自身が2児の母親として感じていることだが、『麦茶つくらなきゃ』でも『誰にも褒められない』という切ない気持ちがポジティブな価値に転換される。子どもやお父さんも気軽にでき、一瞬で達成感が得られるというのは、簡便さやコスパがよくなったこと以上に大きいかもしれない」との見方を示す。

課題は認知度にあり「お店では常温の棚で展開していただくことが多く、冷蔵コーナーに比べて新規ユーザー方の目につきにくいといったこともあり、まだ市民権を得られたとは思っておらず、まだまだ伸びしろがあると考えている」。

「GREEN DA・KA・RA」全体では、ブランドビジョンである「親子を笑顔に」の具現化にも引き続き取り組む。昨年11月には「ジャポニカ学習帳」とコラボレーションした「おやここうかんにっき」プロジェクトを始動した。現在もブランドサイトで公開しており、ダウンロードできるようになっている。「親子関係では親子双方のコミュニケーションが求められており、今後もそのような情緒的な側面でお役になれることをやっていきたい」という。

熱中症対策も啓発する。そのほかにも、貧困や生まれ育った環境によって教育の機会が得られずに将来の可能性が閉ざされてしまう子どもたちや衣食住が十分に確保されていない子どもたちを応援する「子供の未来応援国民運動」を2018年から支援し収益の一部を寄付している。

今後の「やさしい麦茶」については「夏の市場規模が大きく天候やコロナの状況次第だが、伸び率では夏以外が高い。日常的に幅広いニーズに対応できる水分補給として麦茶飲料の価値が広まりつつあるので、まだまだポテンシャルのあるカテゴリー。お客さまの気持ちに寄り添う提案を積極的に行っていきたい」と意欲をのぞかせる。