快進撃の揚げ米菓 スナック化進みボーダーレス競争強まる

増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移している米菓市場の中で、揚げ米菓が伸長を続けている。インテージ調べによると10年前に比べ約35%増と確実にシェアを広げている。揚げ米菓の購入層は50代以上の男性がボリュームゾーンだが、5年前と比べ年齢別構成比はほぼ変化していない。30~40代についても数字が落ちていないため、ある程度の年齢層になると揚げ米菓を食べ始めると推測される。さらに米菓は夏場に弱いが、揚げ米菓はアルコールや炭酸などとも相性が良いため夏場の落ち込みがほとんどないのも特徴だ。

揚げ米菓の2大メーカーは、関西のぼんちと関東の天乃屋。

ぼんちは主力の「ぼんち揚」「ピーナツあげ」に加え、リニューアルした「海鮮揚煎」が好調に推移している。今年創業90周年で、キャンペーンなどの施策で拡売を図る。天乃屋は上期(9~2月)7%増と、コロナ禍で定番ブランドに人気が集中する傾向を受け「歌舞伎揚」が伸長した。第3四半期も、前年の特需の裏年にもかかわらず「歌舞伎揚」は数字を落とすことなく微減の着地見込み。

大手の動向は、亀田製菓がロングセラーブランド「揚一番」「こつぶっこ」に加え、2月に発売した「無限エビ」も話題となった。今後ロングセラーブランドに育てるため、SNSを使った販促とさらなる配荷アップに向けて注力する。

三幸製菓は、揚げのラインアップは少なかったが、この春「三幸の揚せん」を発売。人気ブランドが各地で根付いているため、独自性をもたせたノンフライ製法の商品。ノンフライにすることでカロリーも抑えられ、スティック形状でボロボロと崩れにくく食べやすいメリットがある。発売後導入・回転ともに好調に推移している。

岩塚製菓は、コンビニや生協PBに取り組んでいたが、昨年春に発売した「黄金揚げもち」や新商品の「しっとり揚げちゃいました」などでNBとしての存在感も高まりつつある。

栗山米菓は若年層ターゲットのコンテンツタイアップ商品に「ばかうけごま揚げ」を投入、若年層の取り込みに成功し売上げを牽引した。

各社とも揚げのラインアップは必須と考えているため、様子をみながら工場の増強なども視野に入れている。

スナックと揚げ米菓は消費者の流出入を繰り返す傾向にあり、米菓メーカーはスナックのような軽い食感の生地に味付けし、若年層や米菓ライトユーザーの取り込みにも動き始めた。その中でもよりスナック化したひざつき製菓の「ポテうまえびせん」や丸彦製菓の「こめジャガ」は米菓生地にじゃがいもを混ぜて揚げたハイブリッドな米菓を発売している。

一方でスナック大手の湖池屋は、先月米粉を使ったスナックを発売。スナックメーカーならではの食感や形状で、ターゲットはアクティブシニア層。まさしく米菓のボリュームゾーンを狙った商品だ。導入は好調で計画の2倍近くになっているという。

湖池屋も数年温めていた企画で、高付加価値スナックの「じゃがいも心地」の派生ブランドとして「おこめ心地」を発売。「心地」は素材の美味しさを大事にするブランドとして認知が上がっているだけに消費者の反応も良いようだ。

スナックメーカーの動きに関して米菓メーカーの反応はさまざま。「消費者の選択肢が広がる」や「脅威になる」「消費者の取り合いになる」「米粉の挽き方など、米菓メーカーは当たり前のようにやっていることを、消費者に価値として伝えるのは勉強になる」などの声も上がった。

食生活が多様化している中、さまざまな食シーンにマッチする揚げ米菓は、今後も米菓市場を牽引していくことが予想される。米菓がスナック化していくことでスナックとの垣根が低くなりスナックへの流出や、米菓本来のコメの味の喪失も懸念されるが、米菓の課題である若年層の取り込みは、揚げ米菓が有力な切り口になるだろう。カテゴリーの垣根を越えて「コメ」の良さを消費者に伝え、相乗効果での市場活性化を期待したい。

せんべい・あられの年次トレンド(インテージSRIデータ)