高砂香料工業 代替肉・第3のミルクに注目 戦略の中心に「カテゴリー拡販部会」 桝村聡社長に聞く

高砂香料工業の桝村聡代表取締役社長は、今期の食品・飲料の市場見通しおよび販売戦略などについて次のように語った。

2021年3月期連結決算の売上高は、フレーバー部門において飲料向けなどが低調だったことから前期比1.4%減にとどまったが、営業活動が制限され販管費などが減少したことなどにより営業利益は136.4%増となった。

「新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くの部分で予想できない状況が続いた。厳しい感染対策が求められたが、操業を続けることができ、全体として大きな影響がなかったのはありがたかった」(桝村社長)。

同社はフレーバー、フレグランス、アロマイングリディエンツ、ファインケミカルの4事業を展開しており、「フレーバーに関しては、コロナ禍において人の移動が制限されたため飲料や菓子類向けは厳しかったが、巣ごもりにより家庭内での食事が増え、家庭用食品や冷食向けなどは伸長。フレグランス関係は、香水は需要が落ち込んだが、衛生関連製品は伸び、さまざまな業態にかかわっていることが強みとして出た」。

今期の市場見通しは、「全体的な消費の流れは、新製品や受注量から判断して少しずつ回復傾向にあるというイメージをもっているが、なかなか見通しは読めない。しかしコロナ以降も、衛生に対する高い意識は続くであろうし、外に出る機会が増えれば商品の動きは徐々に活発な方向へと変わってくると思う」。

国内の食品・飲料市場の見通しに関して、「コロナ禍での巣ごもり消費による即席麺・冷凍食品、大袋・大容量タイプの製品(菓子・アイスなど)、高・低・ノンアルコールRTD飲料、大型PET飲料・希釈飲料、免疫力向上・健康志向の高まりを背景に、野菜ジュース・発酵乳飲料などは好調に推移する」と予測。そこで「全部門横断的に利益体質改善、基盤強化への取り組みを進め、カテゴリーごとの拡販部会を販売戦略の中心に据える方針だ」。

具体的には伸長しているチューハイ市場や無糖炭酸飲料向けに、安定性に優れたレモンフレーバーなどを提案。そのほかピーチフレーバー、コーヒーフレーバーにも注力している。コロナ禍によるポーション特需商機を逃さず、コーヒーエキス商権の防衛、拡売にも努めていく。

「中でも代替肉・第3のミルク・植物性チーズなどのプラントベースフード市場はここ10年で5倍強の伸びをみせており、昨年対比でも138.2%。5年後には1千億円規模の市場となると予想」。

注目株の代替肉の取り組みは、「肉を使用した生地と植物性タンパクを使用した生地でのフレーバーの挙動の比較データをもとに、ビーフフレーバーやハムフレーバーなどの開発を進めている。また、大豆臭の原因となる香気成分を同定、嗅覚受容体を用いたアンタゴニストの探索なども研究対象にしている。タンパクとの相互作用から香りや味の発現性を改善する素材の探索なども行っている」。

SDGsに関しては「高砂香料グループの重点課題と位置づけ、研究開発や調達・生産・物流のサプライチェーンから働き方まで領域を問わず、グローバルな体制で取り組んでいる。今後は2021年4月に始動した活動計画『Sustainability 2030』に沿って、一つ一つの計画を着実に進めていくことでサステナビリティの強化に努める」としている。