世界最軽量のアルミ缶挑戦 高まる欧米需要に製缶・充填一体化のコンパクト製造ライン提案 東洋製罐GHD

東洋製罐グループホールディングス(GHD)は、缶容器需要が高まる欧米をはじめとした海外に向けて、製缶と充填が一体化した新コンパクト製造ラインを提案し世界最軽量のアルミ缶にも挑む。

このほど、アルミ缶の内側と外側の両面にポリエステルフィルムを熱圧着させた「aTULC」で製缶・充填一体型の新コンパクトラインを構築した。

通常のアルミ缶の製造工程では、アルミコイル(アルミ板)を加工する際、大量の潤滑油を使い、その後、大量の水を使って洗浄しなければならない。

大塚一男社長(東洋製罐グループホールディングス)
大塚一男社長(東洋製罐グループホールディングス)

一方、新コンパクトラインでは、ポリエステルフィルムを熱圧着させたアルミ缶を使用することで、潤滑油と水の使用を不要としCO2排出や廃棄物の大幅な削減を可能にする。これにより、大規模設備を不要とし飲料メーカーの工場内での製缶が可能となる。

5月24日に決算発表に臨んだ大塚一男社長は「製缶ラインを充填ラインに直結することで、空缶の輸送がなくなり軽量化がしやすくなる。現在、8.8gの容器を開発中で、世界ではまだ出現しておらず、何とかこの開発を成功させたい」と意欲をのぞかせる。

現在の350㎖標準缶の重さが11g。これを新たな缶底成形方式などを導入して2.2g軽量化する。このような設備のコンパクト化と軽量化、空缶輸送の削減によって、年間の大型トラック3千685台分の移送が不要となる。

「新コンパクトラインの完成後の次のステージで軽量化に取り組みたい。新コンパクトラインは既に米国から具体的なオファーをいただいており、今後は欧米など環境に非常に前向きな地域に提案していきたい」と語る。

缶容器一般では、欧米をはじめとする海外で需要が急増。特に米子会社のストーレマシナリーについては「3年くらい先までオーダーが入っている」という。

新ラインの模型。充填ライン(上部)に製缶ライン(下の水色部分)が直結(東洋製罐)
新ラインの模型。充填ライン(上部)に製缶ライン(下の水色部分)が直結(東洋製罐)

なお、ポリエステルフィルムを熱圧着させた「aTULC」の循環利用については、aTULCに限らず一般のアルミ缶も含めてリサイクル工程でロータリーキルンと呼ばれる炉で約500℃で焼かれフィルムや塗料は除かれるため、循環利用に支障をきたさないようになっている。

東洋製罐GHDは、5月に長期経営ビジョン2050「未来をつつむ」を策定。「食と健康」「快適な生活」「環境・資源・エネルギー」の3分野に注力する方針を明らかにした。その途中となる中長期経営目標2030では、売上高1兆円・営業利益800億円の事業目標を設定。社会・環境価値の目標としては、事業活動でのCO2排出量35%削減(19年度比)、サプライチェーンでのCO2排出量20%削減(同)を掲げる。

今後、アルミ缶製造設備・販売体制の強化やバリューチェーン全体での環境負荷低減を推進していく考えのもと、中期経営計画2025からは、主要セグメントの包装容器関連事業をエンジニアリング・充填・物流領域と包装容器領域に分割して管理する。

国内包装容器の今後については「一番大きなテーマは環境。プラスチック容器を含めたリサイクルの推進やCO2排出削減の取り組みが重要となる」と述べる。

国内では地方分散の流れにも着目する。「地方分散に対しては、従来の大量生産・大量消費の事業モデルから脱却し、エンジニアリングを含めて小ロット化にどう対応していくかが問われる。したがって、包装容器とエンジニアリングの領域を切り離したほうが、よりわれわれの戦略が見えるようになる」と説明する。

22年3月期連結業績予想は売上高2.8%増の7千700億円、営業利益4.4%減の255億円、経常利益4.9%減の260億円。

今期は主要原材料である鉄、アルミ、樹脂に加えてエネルギーコストが大幅に上昇すると予想し124億円のコストアップを見込む。ただし海外子会社が好調な滑り出しとなっており、さまざまな施策を行うことで営業利益255億円を確保する。