「ずぼら」という手段

「意味変化」とまではいかないが、最近「ずぼら」という言葉が前向きなニュアンスでも使われるようになってきた。手を抜くことを肯定的にとらえようという、新しい考え方だ。

▼その代表である「ズボラ飯」は、手抜き料理を想像しがちだが、実際には身近な食材を使い、簡単に美味しくできる料理を指す。ネットでは包丁を使わない、まぜるだけ、レンチン、調理時間3分などのキーワードが並ぶ。主婦を中心に共感を呼び、コロナ以降のトレンドになっている。

▼在宅時間が増えて、丁寧なくらしが一時期見直された。しかし、現実は食事の支度やその他家事の負担が増え、精神的にきつさを感じる主婦が増えている。手抜きでも負い目に感じないよう、「ずぼら」も一つの手段と多様性を認め合う意味合いを込めて、ポジティブな意味に転用したと推測する。

▼「ズボラ飯」と「時短料理」は、おそらくそう大きく意味が変わらないだろう。ただ、閉塞感漂う社会の中で、自分や他人のストレスを共有し、労わる気持ちがほんのり加わったと感じる。