“味の素 DX活用しニーズ“見える化“ 流通、自治体連携で健康課題解決へ”

味の素社の常務執行役員食品事業本部長に4月1日付で就任した藤江太郎氏は5月28日、2021年度の食品事業方針と重点施策をオンラインで説明した。

調味料・食品セグメントの重点戦略として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」「栄養価値の提供」「地域内連携」の三つをあげた。「DX推進」では、「DXは目的でなく、活用して変革することが重要であり、最大限に活用する」とし、生活者ニーズを“見える化”したデータを商品やサービスに生かしマーケティングの高度化を図る。例えば「クノール たんぱく質がしっかり摂れるスープ」は、これまでシニアの筋力機能に特化してきたが、データ解析により筋トレ時のたんぱく質補給機能に焦点を当てた結果、大ヒット。マヨネーズ初の2重構造ボトルを採用した「ピュアセレクトマヨネーズ」新鮮キープボトルもインスタグラムでボトルがおしゃれでかわいいなどの投稿が相次ぎ、発売後すぐに完売した。「DXの成果が出るのはこれからだが、定量的には20~22年の累計で60億円の利益貢献につなげたい」考えだ。

「栄養価値の提供」では、おいしさと食へのアクセス、地域や個人の食生活の3方面から「妥協なき栄養」に取り組む。「おいしい減塩とたんぱく質摂取の二本柱により栄養課題の解決にアプローチ」。特に減塩は「減塩をしたいが具体的に行動していないことが課題となっている」とし、「うま味調味料と風味調味料を使った「スマ塩(Smart Salt)」を通じて、おいしい減塩活動を推進」。そのためのコミュニケーション展開としてYouTube動画や店頭でのコミュニケーションを実施。「既に店頭活動では茨城のカスミ、セイミヤなどでも展開しており、好評をいただいている」。

「地域内連携」は2016年度から展開している地域行政や流通、メディア連携による活動で、既に41都道府県で実施。「自治体や流通との連携により地域の健康課題解決につながった。これらはASV(味の素グループシェアードバリュー)の一環であり、社会価値と企業価値を共創する取り組みと言える」。

昨年度の同社グループの売上高は調味料・食品と冷食が年間を通じてコロナの影響を受けて減収だったが、事業利益はその他セグメントを除き増益、過去最高益を達成した。昨年は安定供給を最優先に重点製品に集中、事業構造強化と生活者の変化をとらえた取り組みを展開してきた。

21年度は増収を予想。ただし調味料・食品は国内工場の立ち上げもあり減益を見込んでいる。全社のROIC目標達成へ持続的なオーガニック成長と資本効率化の両輪で進める。